今月の料理
令和5年6月
管理栄養士 高橋栄美
そろそろ梅雨の季節がやってきます。毎日ジメジメすると洗濯物も乾きにくくなるので困りますね。
今月は、これから旬を迎えるアジといわしを使った料理をご紹介します。
アジのさっぱり漬け
材料(2人分) 小アジ…2尾 片栗粉…大さじ2 玉葱…70g 人参…40g ピーマン…20g |
〇酢…大さじ4 〇砂糖…大さじ2 〇醤油…大さじ2 〇白だし…小さじ2 レモン汁…小さじ2 油…適量 |
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栄養成分値
<1人分> エネルギー:231Kcal たんぱく質:16.2g 脂質:6.5g 炭水化物:25.3g 塩分:3.3g |
鰯とごぼうのつみれ揚げ
材料(2人分) いわし…中3尾 料理酒…大さじ1 ごぼう…70g(約1/2本) 酢…適量 大葉…2~3枚 長葱…20g |
卵…1個 味噌…小さじ1 片栗粉…大さじ2 油…適量 レモン…1/8個 |
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栄養成分値
<1人分> エネルギー:431Kcal たんぱく質:28.5g 脂質:25.4g 炭水化物:17.4g 塩分:0.6g |
アジやイワシにはEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)という不飽和脂肪酸が多く含まれます。これらには血中コレステロールや中性脂肪を減少させ、血液の循環を良くする効果があるため動脈硬化や心臓病の予防につながります。今回は調理法を2つご紹介しましたが、魚の良い油を効率よく摂取するためには新鮮なうちに生食するのが一番です。
ぜひお寿司やお刺身でも美味しくいただきましょう。 |
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今月の料理
令和5年5月
管理栄養士 高橋栄美
3月、4月と連続で低糖質メニューをご紹介してきました。今月もまた糖質を抑えた料理と、糖質制限食について簡単ではありますがご紹介したいと思います。
カリフラワーライス
細かく刻んだカリフラワーをご飯の代わりにする事で、糖質制限できると話題です。
今ではスーパーの冷凍食品コーナーでも見かけることがありますが、勿論ご自宅で作ることも出来ますのでその作り方を紹介します。
1:お好きな分量のカリフラワーを小房に分け、よく水洗いする。 2:鍋にお湯を沸かし3~4分茹でる。 3:ザルにあけキッチンペーパー等で余分な水気を絞る。 4:芯の部分はみじん切り、房の部分は粗めのおろし器ですりおろす。 お米の大きさをイメージして同じくらいの大きさにします。 (ミキサーやフードプロセッサーがあれば便利です) ★茹でてあるのでそのままご飯の代替品として使えます。 保存する場合はお酢を少量回しかけて全体に混ぜ、密封できる袋に 入れて冷蔵庫なら3日程度、冷凍庫では1か月程保存が可能です。 |
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鶏肉と春キャベツの塩麹丼
材料(2人分) 鶏もも肉・・・・200g ■塩麹・・・・・20g ■はちみつ・・・・5g ■おろし生姜・・・6g |
キャベツ・・・・300g ブロッコリー・・50g 人参・・・・・・40g 料理酒・・・・大さじ1 みりん・・・・大さじ1 片栗粉・・・・大さじ1 油・・・・・・小さじ1 |
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栄養成分値
<1人分> エネルギー:279Kcal たんぱく質:25.3g 脂質:6.6g 炭水化物:29.4g 塩分:2.1g ※カリフラワーライス100g含む
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糖質制限食について
糖質制限食という言葉を耳にしたことがある方、また実際になんらかの形で糖質制限を行ったことがあるという方も多いかも知れません。
糖質とは、主にエネルギー源となる栄養素で、三大栄養素である炭水化物は「糖質」と「食物繊維」に大きく分けられます。食物繊維は体内で消化されないのでエネルギー源にならず、血糖値にも影響しません。炭水化物のうち、糖質となる部分だけが血糖値に影響を与え、摂りすぎることにより食後の高血糖や、エネルギーの摂りすぎによる体重の増加につながります。
そこでここ数年では体重のコントロール(ダイエット)や、血糖コントロールの為の糖質を抑えた食事方法が注目されるようになってきました。
日本糖尿病学会が推奨している食事のエネルギー比率を見ると、炭水化物エネルギー比50~60%とあります。(糖尿病食事治療のための食品交換表第7版より)
これは食事全体の摂取エネルギー量のうち、50~60%を炭水化物から摂取する。という意味です。
しかし一方で、同学会の糖尿病ガイドラインにはその比率についてのエビデンス(根拠)はない、と示されています。日本人はもともと、主食のお米を多く食べる食文化でしたが、現在は食の欧米化・多様化で肉・魚等のたんぱく源も充分に摂取するようになり、昔に比べるとお米の消費量も少なくなってきています。日本糖尿病学会が長年推奨してきた炭水化物で摂取エネルギーの50~60%を摂るという設定は、現代の日本人の食習慣を考えると、少し難しいと感じる方も多いかも知れません。
海外ではどう考えられているのか?
アメリカの糖尿病学会では、2007年までは糖質制限食を推奨しないとしていましたが、2013年10月「成人糖尿病患者の食事療法に関する声明」においては正式に容認しました。
イギリスの糖尿病学会も、2011年のガイドラインで2型糖尿病における血糖並びに体重の是正における炭水化物制限を認めています。
具体的にどのように制限したら良いのか?
糖質制限食には様々なパターンがあります。朝食・昼食・夕食の3食とも主食を抜く「スーパー糖質制限食」、朝食・夕食は主食を抜き、昼のみ主食を摂る「スタンダード糖質制限食」、夕食のみ主食を抜く「プチ糖質制限食」などです。
どの方法でも肥満の方の体重減少や、血糖値改善には有用かと思われますが、糖尿病ではない方には「プチ糖質制限食」をおすすめします。
ご飯が大好きで沢山食べてしまう、というような方は、主食をすべて抜かなくても、まずは半量にするだけでも効果があるかも知れません。また、主食を抜いた代わりに他の糖質(いも類や、甘いおやつ等)を多く食べてしまうと意味がないので、気を付けましょう。
糖質制限を行う際の注意点は?
注意点としては、長期的な糖質制限に関しての安全性がはっきりと示されていないことです。
2013年に能登洋氏(当時国立国際医療研究センター病院)が糖質制限食による死亡リスクについて検証し、糖質制限食による長期的な効用は認められず、死亡リスクが有意に増加していた事を報告しました。(※過去の9つの論文から、総272,216人の全死亡リスクは糖質制限食遵守者で有意に高かった事を解析した)
これに関しては今後、過去の研究データからではなく、前向きな研究が行われる必要があるでしょう。
ただ、短期的にみて食後高血糖の是正や、肥満の方のダイエットに対して有用なことは間違いないと言って良いでしょう。
<注意>![]() |
血糖値を下げるお薬を内服している方やインスリン注射をしている患者さんは、 糖質制限食によって低血糖を引き起こす可能性がありますので、慎重に試していく必要があります。 腎機能が低下している方には糖質制限食はおすすめできませんので、ご注意下さい。 |