新しい糖尿病薬マンジャロ 副作用と薬価を解説
2026年2月
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
前回までは「インフルエンザ」のお話と「糖尿病のシックデイ」についてを特集いたしました。
そしてその前の2025年10月、11月号では、新しい糖尿病のお薬
「マンジャロ」について特集しました。インスリンとの違いなど要点を振り返ってみましょう。
・インクレチン製剤では
「体重が減りやすい」「低血糖の心配が少ない」
(アマリールなどインスリンを出す薬やインスリンとの併用時は低血糖の可能性あり)
・インスリンでは
「体重が増えやすい」「低血糖の可能性がある」
それぞれが担う
役割や目的は異なり、どちらも糖尿病治療には欠かせない大切な薬です。
今回は、①
マンジャロをはじめとするインクレチン製剤の副作用について、
気になる②
治療費用について解説していきます。
【マンジャロの副作用】
主なものは以下の通りです。
①消化器系
吐き気、嘔吐、下痢、便秘などの症状がみられます。
マンジャロに含まれる「GLP-1」は、膵臓にインスリン分泌を促す働きをするほか、胃の運動をゆっくりにする作用があります。これにより血糖値の急上昇を防ぎ、満腹感を感じやすくなり、自然に食欲が抑えられます。
その一方で、
胃の動きが抑えられることで、吐き気やもたれ、便秘・下痢などの症状が出ることがあります。
副作用の発現頻度(臨床データ)
吐き気 約
10〜20% 嘔吐 約
5〜10%
下痢 約
5〜15% 便秘 約
5〜10%
多くの場合は
薬を注射した最初の数回でみられ、体が慣れる数日~数週間で軽くなることが多いです。症状が強い場合は無理せずに医師に相談してくださいね。
②低血糖のリスク
インクレチン製剤は、食事に反応して血糖を下げる仕組みのため、単独では
低血糖のリスクは少ないとされています。しかし、
インスリンやSU剤(アマリール)などと合わせて内服する時に低血糖が起こることがあります。
複数の薬で治療している場合は注意しましょう。
③気分の変化
まれに、気分が沈んだり元気が出にくく感じる方もいます。
体重や食欲の変化、薬の影響が重なることで、一時的に気分が落ち込みやすくなることがあります。
「もしかして薬の影響かも」と思ったら、無理せず医師やスタッフ、家族に相談してくださいね。薬の量を調整したり、サポートで改善できる場合があります。
どんな薬にも副作用はありますが、その症状が強い場合は調整や切り替えも可能です。
気になることは我慢せず、遠慮なくご相談ください。
【マンジャロの治療費について】
保険診療で扱われる薬の価格(薬価)は、国によって定められており、毎年4月に見直し(薬価改定)が行われています。
発売直後の新薬は、最初は少し高めに設定されますが、時間とともに調整されて
少しずつ下がる傾向です。
マンジャロは2023年に発売されたばかりなので、現在は少し高めです。
①マンジャロ1本あたりの薬価を用量別に表にまとめました。
製品名
|
薬価(円)
|
自己負担1割
|
自己負担2割
|
自己負担3割
|
マンジャロ皮下注 2.5mg
|
1,924
|
192
|
384
|
577
|
マンジャロ皮下注 5mg
|
3,848
|
385
|
770
|
1,154
|
マンジャロ皮下注 7.5mg
|
5,772
|
577
|
1,154
|
1,732
|
マンジャロ皮下注 10mg
|
7,696
|
770
|
1,539
|
2,309
|
マンジャロ皮下注 12.5mg
|
9,620
|
962
|
1,924
|
2,886
|
マンジャロ皮下注 15mg
|
11,544
|
1,154
|
2,309
|
3,463
|
※保険診療では薬価以外に、診察料・検査料・管理料などが加わります
上の表では用量が増えるほど薬価も少しずつ上がります。
保険負担の割合は患者さん自身の年齢や加入している健康保険によって1割・2割・3割に分かれます。
②次の表では
マンジャロと従来のインクレチン製剤であるビクトーザとトルリシティとの薬価、取り扱いの手間を比較してみましょう。
製剤
|
注射の
頻度
|
一本の薬価
|
4週分の
薬価
|
自己負担3割
|
自己負担1割
|
マンジャロ 2.5mg
|
週1回
|
1,924円
|
7,696円
|
2,308円
|
770円
|
マンジャロ 5mg
|
週1回
|
3,848円
|
15,392円
|
4,618円
|
1,539円
|
マンジャロ 7.5mg
|
週1回
|
5,772円
|
23,088円
|
6,926円
|
2,309円
|
ビクトーザ
|
毎日1回
|
8,434円
|
11,808円
|
3,542円
|
1,181円
|
トルリシティ0.75㎎
|
週1回
|
2,749円
|
10,966円
|
3,299円
|
1,097円
|
トルリシティ1.5㎎
|
週1回
|
5,498円
|
21,922円
|
6,598円
|
2,193円
|
※保険診療では薬価以外に、診察料・検査料・管理料などが定められています
上の表からわかるそれぞれの特徴を、①手間と②費用の2つの視点から見てみましょう
①注射薬には、
毎日打つタイプと
週に1回打つタイプがあります。
毎日タイプ(ビクトーザ)は注射の回数が多くて負担は大きいですが、
「毎日の習慣」にしやすく、続けやすいという方もいます。
一方で、週1回タイプ(マンジャロ、トルリシティ)は、
注射の手間が少なく、忙しい方にも続けやすいのが特徴です。ただし、「いつ打ったっけ?」と忘れてしまうこともあるので、
曜日を決めて固定するなどの工夫をすると安心です。
②値段の違い
また
薬の用量によって
薬価にも違いがあり、ざっくりと以下のようになっています。
ビクトーザ=トルリシティ0.75㎎<マンジャロ5㎎
トルリシティ1.5㎎=マンジャロ7.5㎎
マンジャロは「GLP1+GIP製剤」で従来のGLP1薬剤と比較して、
「血糖値を下げる作用」「体重を減らす作用」がより効果的と言われています。
それぞれの薬の効果には個人差があるため、血糖、体重のほかに血液データ、動脈硬化の検査を含めて医師が診断して最適なお薬をご案内していますのでお任せくださいね。
③ 医療費が高くなったときの対策(医療費控除)
糖尿病の治療では、薬代のほかにも定期検査や通院などで出費が重なることがあります。
もし1年間の医療費の合計が10万円(または所得の5%)を超えた場合は、
「医療費控除」という制度を利用できます。相談窓口は税務署・市町村です。
【まとめ】
マンジャロは、GLP-1とGIPの両方の作用をもつ新しい糖尿病薬で、血糖コントロールと体重減少の両方が期待できます。
一方で、吐き気や便秘などの副作用が出ることもありますが、多くは時間とともに落ち着きます。
週1回の注射で続けやすい反面、用量によって費用が変わるため、無理のない治療計画が大切です。
医療費控除などの制度も上手に利用して、治療を続けやすくしましょう。
2026-02-09 09:38:53
糖尿病の薬