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猪岡内科コラム

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糖尿病シックディの対応

糖尿病シックディの対応

糖尿病シックディの対応
2026年1月
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
 
ますます寒くなってきておりますが、みなさま体調はいかがお過ごしでしょうか。
今回は糖尿病の方が体調を崩してしまった時、どのように対応したらよいか
をまとめていきます。
【糖尿病のシックデイ対応】
糖尿病の方にとってインフルエンザや胃腸炎などで体調を崩す「シックデイ」は
血糖値や水分バランスが崩れやすく、「高血糖」「低血糖」「脱水」「ケトーシス(ケトン体の増加)」のリスクが高まります。
「シックデイでは体にどんな変化が起きるのか?」
「日常では具体的にどうしたらいいのか?」
今回は日本糖尿病学会・主要国際ガイドラインの考え方に沿って、わかりやすく解説します。
 
【シックデイとは?】                                                                    
インフルエンザや胃腸炎などの感染症で、発熱・下痢・嘔吐・食欲不振があると、体の中ではさまざまな変化が起こります。
まず、食事や水分がとれない状態が続くと、血糖コントロールが難しくなり、脱水も進みやすくになります。
さらに感染により炎症反応が起きると、“ストレスホルモン”(カテコールアミン・コルチゾール)が増え、血糖を上げる方向に働きます。この時、体はエネルギー源として脂肪を分解し、ケトン体が増えやすくなります。
つまり、
食べられずエネルギー不足になること
② 炎症によるストレスホルモンの増加

この2つが重なることでケトン体が増え、体は酸性に傾きやすくなります。
 
さらに水分がとれずにいると脱水が進み、尿量も減ります。
尿として排泄されるはずのケトン体が体の中にたまってしまい、悪循環に入り、血糖コントロールはますます難しくなります。
こうした背景から、シックデイは高血糖・低血糖・脱水のリスクが一気に上がる状態なのです。
 
【自宅でできる対応】
血糖値の測定と尿ケトンのチェック
食事がとれない時や体がだるい時は、指先で血糖値を測り、尿の試験紙でケトン体をチェックしてみましょう。
血糖値が350㎎/dl以上が続いていたり、尿ケトンが出ていたら早めに受診をおすすめします。
血糖測定器、尿の試験紙は、インターネットでも購入することができます。
(インスリンや注射薬を処方されている方は保険適応で院内貸出を行っています。)
 
水分をこまめに飲む
ガイドラインでは「30分に100ml」が目安です。
コップ半分〜1杯を30分〜1時間かけてゆっくり飲みましょう。吐き気がある方はスプーン1杯ずつでOKです。
基本は「湯冷まし・水・麦茶・ほうじ茶」
脱水が強いときは OS-1
食事がとれず低血糖気味のときはポカリスエット・アクエリアスがおすすめです。
高血圧でも、短期のシックデイなら OS-1 の塩分はほぼ問題ありません。
 
飲み物を効果別に一覧にしてみました。
飲み物
 
糖分
 
塩分(電解質)
 
脱水改善
 
血糖への影響
 
OS-1
 
少なめ
 
多い
 

 
上がりにくい
 
ポカリ
 
多い
 

 

 
上がりやすい
 
アクエリアス
 
ポカリより少なめ
 

 

 
やや上がる
 
水・湯冷まし
 
なし
 
なし
 

 
上がらない
 
麦茶・ほうじ茶
 
なし
 
ほんのわずか
 

 
上がらない
 
●迷ったらこうしましょう
血糖が高い(250〜300以上)場合は
→ おすすめはOS-1、水・湯ざまし・麦茶・ほうじ茶、
避けるべきはスポーツドリンクやジュース、炭酸飲料
血糖が普通(100〜)場合は
→ OS-1、水・湯ざまし・麦茶・ほうじ茶、食事少ない日はスポドリ少量
血糖が低い/食べられない時
   → ポカリ or アクエリアスを水や麦茶と交互に飲む
脱水の場合(尿がでていない時)
     → 迷わず OS-1(最優先)

③ 自分の薬で“中止すべきもの”を把握
以下は一般的な方針(ガイドライン準拠)です。
シックデイ時の血糖変動は個人差が大きいので、処方されているお薬は事前に主治医と調整の仕方を決めておくことをおすすめします。
自己判断で中断しないようにしましょう。
 
●インスリン
インスリンは種類によって対応が異なります。

トレシーバ、グラルギン、ランタスなどの長時間効くタイプの基礎インスリンは中止せずにいつもの量を続けましょう。ただし、夜中、朝食前に低血糖が続いたら少しだけ下げましょう。
食事が食べられないときは、リスプロ、ノボラピット、アピドラなどの超速攻型のインスリンの量を減らして調節しましょう。
上の図を参考に「食後2時間の血糖値」をみて調節してくださいね。
 
●アマリールなどのSU薬、グルファスト
インスリンを出させるお薬なのでて食事がとれないときに内服すると低血糖のリスクが増えます。食事の量により調節しましょう
前のページのインスリンのところで示している図と同じが目安です。
食事の量がいつも通り→いつもの量
食事4~7割→いつもの半分の量
全く取れない場合→中止
 
●メトホルミン
メトホルミンはとても良い薬で、多くの人に安全に使われていますが、下痢や嘔吐などの消化器症状が中心であれば中止となることがあります。
重い脱水や、強い感染・高熱・吐き気で食べられない状態になると、体の中で薬が処理されにくくなることがあります。
そのような脱水の状態で続けて飲むと、ごくまれですが“乳酸アシドーシス”の副作用が起こることがあります。
体調が悪いときだけ、一時的にお休みすることを推奨しています。
 
そのほかの糖尿病のお薬は基本的に継続して飲んで大丈夫です。

 
【まとめ】
・シックデイは高血糖・低血糖・脱水・ケトン体が体にたまりやすい状態です。
・自宅ではこまめな水分補給を心がけましょう。湯冷まし・水・麦茶・ほうじ茶を中心に症状に合わせてOS-1やスポーツドリンクを取り入れてください。
・血糖測定をいつもよりこまめに行いましょう。
・食事は無理せずにおかゆやうどんを食べて薬を調節しましょう。
・症状が強い場合は無理せずにすぐに受診してくださいね。
 

2026-02-09 09:31:47

糖尿病

 
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