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猪岡内科コラム

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新しい糖尿病薬 マンジャロ②

新しい糖尿病薬 マンジャロ②

新しい糖尿病薬 マンジャロ②
 
2025年11月
猪岡内科 
糖尿病療養指導士 中村郁恵
 
前回は糖尿病の新薬「マンジャロ」について特集しました。
インクレチンである「GLP-1とGIP」という2つのホルモンの働きを活かした新しい注射糖尿病の治療薬で、血糖値の改善と体重減少の両方に効果が期待できるというお話でした。
 
それぞれのホルモンの特徴は、
・GLP1単体では胃の動きをゆっくりにして食欲を抑えるため体重が減る
・GIP単体では食欲が増えたり、脂肪をため込む側に働く
まるで、プラスとマイナスのような真逆の働きをしているように見えるホルモンですが、この2つが合わさって「マンジャロ」となると、
“プラスマイナスゼロ”とはならずに、
より強力に血糖値を下げて、体重も減らす作用が期待できるという不思議な特徴があります。

それはなぜか?というところはまだ解明されていませんが、とても興味深いですね。
 
今回は、同じ注射薬でも混同されやすい「インスリン」と「インクレチン製剤」の違いを解説します。
【インクレチンの振り返り】
インクレチンは 食事をとったときに小腸から分泌されるホルモンで、膵臓に「インスリンを出して!」と伝え、食後の血糖値の上昇を抑える大切な役割を持っています。
インスリンは自分の血糖値の状態に関係なく、注射をした瞬間から血糖を下げる動きをするため常に低血糖の心配があります。
一方で、インクレチンは食事に反応して自動調節できるため、低血糖の心配がありません。(SU剤、インスリンとの併用で低血糖の可能性はあります)

 
「食事」に合わせて自動調節できて低血糖の心配もないのなら、「インスリンの注射薬」ではなく全部「GLP1製剤」の方がいいのでは?と思う方もいると思います。
しかし、実はインスリンとインクレチンは“似ているようでまったく異なる役割を持っているため、その違いを解説します。
 
【インスリンについて】
インスリンは血糖値が高い時に刺激を受けて膵臓のβ細胞からでます。
そして、血液の中にある糖を細胞の中に取り込んで血糖値を下げるという働きをしています。

注射薬のインスリンでは、
①すぐに効き始めるタイプ(超即効型:リスプロ)
②1日かけてじっくり効くタイプ(持続型:グラルギン)
①②が混ざったもの、中間型など、種類ごとに決まった「薬の作用時間」
があります。
薬の強さは「インスリンを打つ単位の量」によって決まります。
お米、パンなど血糖値を上げやすい食べ物(GI値)はありますが、「インスリン1単位でどれくらい血糖値を下げる効果があるか?」というところでは個人の吸収度合い、薬を打つ位置によってもバラバラです。
 
それらを合わせた「日々の血糖コントロール」は医師の指示のもとに
普段の血糖値やその時の血糖値を頼りにしながら、低血糖にならないように
「今日はいつもより食事の量が少なそう」や「飲み会があるから血糖値が上がりそう」など患者さん自身の経験や感覚にある程度ゆだねられます。
 
【インクレチンとインスリンの違い】
インスリンは「今の血糖値が高い低い」という体側の事情には左右されずに、注射をしたインスリンの量の分だけ、血糖値を下げてくれる効果があります。
これと比べると、インクレチン製剤は週1の注射で済み、低血糖の心配もなく食事の刺激でオートマチックに反応してくれるので画期的に見えますね。
しかし、インスリン治療はとても大切な治療です。
 
【なぜインスリンが大切か?】
1型糖尿病や2型糖尿病の末期の患者さんでは、自分自身のインスリンがほとんど出ていません。
インスリンがでていない状態なので、GLP1製剤のように「インスリンを出してください」という指令だけでは血糖値を下げることはできず、不足しているインスリンを補う治療が大切になります。

糖尿病の方でご自身のインスリンがしっかりと出ているか?と気になる方は
血液検査の項目のCペプチドまたはIRIで把握することができるので声をかけてくださいね。
 
【インクレチンとインスリンの併用】
とても大切な治療のインスリンですが、「インスリンの量が増えると体重が増えてしまう」という懸念点があります。
本来はエネルギーとして使われる糖分がインスリンを打つことでしっかりと細胞の中に取り込まれます。体はそれでエネルギーを利用することができますが、余ったエネルギーは脂肪としてたまりやすくなるためです。
 
体重が増えるとインスリンの量も増えてしまいますが、インスリンとインクレチン製剤の両方を併用すると、血糖値が下がる、体重が減るという面で効果が期待できます。
 
当院で効果のあった1例を紹介します。
      使用した薬剤 マンジャロ 5㎎
                  前       4カ月後
HbA1c           7.8%   →  6.9% (-0.9%)
体重             98.9㎏  →  87.9㎏ (-11㎏)
BMI             35     →  31
インスリンの使用量   140単位 →  95単位
 
これだけを見ると、体重が11㎏も減り、HbA1cも0.9%減り、インスリンの量も45単位減っているのでとても魅力的ですね。
この患者さんにはマンジャロがよく効果を示しているようにみえます。
しかし、個人によっては全く体重の変化が見られない場合、副作用が強く出てしまう場合もあります。
このように魅力的な薬剤でも作用・副作用のあらわれ方には個人差が大きい印象です。
副作用や費用については次回解説します。
 
 
 

2025-12-09 09:53:58

糖尿病の薬

 
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