大きな筋肉を動かそう! ~血糖コントロールのカギは筋肉~
2025年8月
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
アメリカ糖尿病学会(ADA=American Diabetes Association)では、
「週に150分の有酸素運動」 「座りっぱなしを避けて30分に一度は動く」
を推奨していますが、加えて「大きな筋肉を意識的に使うこと」も推奨されています。
先月に続き運動特集していきたいと思います。
【クイズ 体の中で一番大きい筋肉はどちらでしょうか?】
① 腹筋
② 太ももの筋肉
答えは下にスクロール
【大きい筋肉5つ】
体の中で特に大きい筋肉と主な動きをまとめてみました。
筋肉の名前
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場所
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主な動き
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①大腿四頭筋
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太ももの前
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ひざを伸ばす
立つ、歩く
階段を上がる
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②大臀筋
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おしり
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立ち上がる
股関節を伸ばす
歩く、ジャンプ
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③広背筋
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背中~わき腹
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ものを引く
荷物を抱える
腕を伸ばす
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④大胸筋
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胸
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腕を前に出す、押す
荷物を抱える
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⑤ハムストリングス
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太ももの裏
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ひざを曲げる、股関節を伸ばす
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ということで クイズの答えは【②の太ももの筋肉】でした。
腹筋は、面積的には大きくありませんが、姿勢を維持したり、起き上がったり、重いものを持ち上げたり、体幹を安定させる“重要な筋肉”です。
こちらも一緒に鍛えていきましょう。
【なぜ“大きな筋肉”を動かすと血糖値は下がるのか?】
ポイントは筋肉内で働く「ブドウ糖の通り道のような“GLUT4”」と、「エネルギーを作る“ミトコンドリア”」です。
●糖をたくさん使う筋肉
体の中で最も多くブドウ糖を消費するのは“筋肉”で、その割合は7~80%と言われています。
“糖”は筋肉にある「GLUT4(グルコース輸送体)」という糖の通り道のようなものを通ってミトコンドリアへ送られます。そして、脂肪や酸素と一緒にエネルギーへと変わっていきます。
● 運動すると「糖の通り道」が活発に!
運動をすると、このGLUT4の数が増えたり、働きが活発になったりしますが、この仕組みはインスリンとは別の経路(インスリン非依存性経路)で動くため、インスリンの効きが悪くなっている糖尿病の人でも運動をすることで血糖値が下がります。
特に、大きい筋肉ほど筋肉量も多いため糖もたくさん吸収されてより血糖値が下がりやすくなります。
●ミトコンドリアの力
取り込んだ糖を酸素や脂肪とともにエネルギーに変えるのは筋肉の中にあるミトコンドリアです。
継続して運動をするとミトコンドリアでは
①数が増える(ミトコンドリア新生)
②燃焼効率が高まる(働きが良くなる)
という2つの変化が起こり、運動直後~数日間の間、糖を効率よくエネルギーへ変える働きをします。
そして、糖尿病では、高血糖や運動不足によりミトコンドリアの働きが弱まる方がいますが、「大きな筋肉を動かすこと」でこの働きを良くすることができます。
このように筋肉を鍛えることは、血糖を一時的に下げる効果だけでなく、休んでいるときでも糖を使いやすい体づくり(=基礎代謝が高い体)につながります。
【今日からできること(大筋群を使ったエクササイズ)】
頻度:週に2、3回が目安
● 椅子スクワット(太もも・お尻)
椅子に浅く座って、立ち上がる、座る動作を繰り返す。10回×2セット
● 階段の上り下り(太もも・お尻)
1階分を上り下り×3回
● 背伸びプッシュ(背中・体幹)
壁に手をつけ、背筋を伸ばして壁に向かって腕立て伏せ
10回×2セット
つま先立ちで背伸びも加えて体幹も鍛えます。
腕立て伏せよりもグンと運動量が減るので取り入れやすいです。
● その場足踏み+腕ふり(太もも・ふくらはぎ・体幹)
その場で足踏み30秒×3回/日
大げさに腕を振って足踏みしてみましょう。
【宇都宮市で利用できる施設の案内】
①宇都宮市のブレックスアリーナでは、1回430円(6回2150円)でトレーニング室を利用することができます。
有酸素運動、筋肉トレーニング、ストレッチなどできるので、暑くて外に出られないときは気軽に室内の利用してみてくださいね。

② 運動プログラムに参加したいという時には
「宇都宮市スポーツ振興財団」の冊子にエアロビクス、ヨガ、ピラティスのクラスがあります。
ストレッチやウォーキングで健康づくりをする「いきいきスポーツクラブ」もおすすめです。

詳細については
「宇都宮スポーツナビ」で検索、または「028-663-1611」に問い合わせしてみてくださいね。
【まとめ】
・大きな筋肉を意識して使うことで効率よく血糖値を下げることができ、運動を継続することで筋肉量が増えて基礎代謝も上がります。
・太もも、背中、お尻などの大きな筋肉を意識して「週に2,3回」を目安に筋肉トレーニングをしてみましょう。
2025-09-12 09:58:01
運動療法