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猪岡内科コラム

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「植物のネバネバ成分=ムチン」は間違い!ムチンは、動物由来の高分子糖タンパク質です

「植物のネバネバ成分=ムチン」は間違い!ムチンは、動物由来の高分子糖タンパク質です

「植物のネバネバ成分=ムチン」は間違い!
ムチンは、動物由来の高分子糖タンパク質です

 

管理栄養士 大西 菜美子

長年、日本中のテレビや雑誌、ネットなどで紹介されてきた「野菜や納豆などの植物性食品のネバネバ成分=ムチン」という情報。これが実は間違いであることが、現在の科学的知見で判明しました。
現在、ムチンは「動物から分泌される粘質物一般」と訂正されています。

ムチンは動物由来の高分子糖タンパク質で、消化管・気道の粘膜上皮や唾液腺などで産生される粘液の主成分です。
分泌型と膜結合型に分類され、物理的バリアとしての粘膜保護や潤滑作用に加え、膜結合型では細胞質内への情報伝達機能にも関与しています。

北里大学理学部化学科の丑田公規教授が発表された「生物工学 第97巻 第1号(2019)」の解説によると…

国内でムチンを扱った最初の文献は、明治17年に東京化學會誌に掲載された報文で「植物として初めて薯蕷(じょうしょ:山芋や長芋のこと)の成分にムチンが発見された」という報告です。その後、明治44年から大正5年にかけて、「山芋のムチン」を強く肯定する論文が見られます。

しかし、昭和3年には、山芋の粘液成分はマンナン(多糖類、食物繊維の一種)とタンパク質の混合物であると発表されており、それについて反論があった形跡はなく、昭和15年に記載された総説でも山芋のムチンは否定されたことが明示されています。これで学術的には、植物ムチンの唯一の報告例であった薯蕷のムチンが否定されて終わったことになります。その後、内外の文献に「植物のムチン」という報告はないことから、昭和3年以降、山芋だけでなく植物全般にムチンは存在しないと学術的に結論付けられています。

 

ではなぜ、現代まで訂正されなかったのでしょうか。
丑田教授によると、明治17年から昭和3年までに書かれた教科書や一般書がその後も訂正されることなく用いられ、新しい書籍などが増殖し、現在に至っているのではないかということです。報文としては薯蕷だけでしたが、いつの間にか他の野菜のネバネバ成分全体に拡張されていたことも、民間人による「外観からの思い込み」があったと考えられています。

改めまして、ムチンは動物由来であり、植物性食品のネバネバ成分とは別物である旨、ご周知下さい。(2015年8月に猪岡内科コラムにて掲載しました「夏にとりたい粘り成分①②」の内容は、この記事にて訂正させて頂きます。)

 

2024-10-18 11:44:40

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