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猪岡内科コラム

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体にいい油をとろう

体にいい油をとろう

体にいい油をとろう
2024年8月
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
 
前回は血圧をコントロールする薬や血圧を下げる食事について特集しました。
今回は血圧を下げる働きのある“DASH食”でも少し触れた“体にいい油”について特集したいと思います。
 
まずは、主な油脂の分類についてです。
【脂肪酸の分類】
油脂はどれも1g=9kcalですが、それぞれ違う性質をもっています。
油脂を主に構成している脂肪酸の種類が異なるからです。
脂肪酸は、大きく 飽和脂肪酸 と 不飽和脂肪酸 に分けられます。


不飽和脂肪酸は、炭素間の二重結合がありますが、その二重結合のまわりの構造の違いにより、シス型とトランス型に分けられます。
 

【シス型とトランス型】
脂肪酸の場合は、水素原子(H)が炭素(C)の二重結合をはさんでどの位置にいるかでトランス型とシス型に分けられます。
トランス(trans)とは“あちら側” ”横切って”という意味で、炭素(C)の二重結合に対して水素原子(H)が反対側にあるものです。 
シス(cis)とはラテン語で“同じ側の” ”こちら側”という意味で、炭素(C)の二重結合に対して水素原子(H)が同じ側にあるものです。
そしてこれが二重結合のあそび、ゆらぎで示される部分になります。


【飽和脂肪酸】
以前にトランス脂肪酸について特集した際に、常温で固体の脂は、主に動物性油脂に多いことをお話しましたが、この固体の脂は、まさに「飽和脂肪酸」です。二重結合がなく、きっちりと密になって整列しているため常温でも固まりやすい状態です。
飽和脂肪酸を多く含む食品としては、バターなどの乳製品やラード、ココナッツオイル、カカオバターなどがあります。
 
【不飽和脂肪酸】
“二重結合”を持っている脂肪酸と言う意味です。
上記に示した通りに、二重結合とはトランス型、シス型とありますが、その二重結合が少ないと脂肪酸同士がきっちり整列できるので、常温で固まりやすくなります。
反対にシス結合のような結合が多いと、ゆらぎがあるため固まりにくい状態となります。

 
さらに不飽和脂肪酸は、1個の二重結合を持つものを 一価不飽和脂肪酸 と、2個以上持つ 多価不飽和脂肪酸 に分けられます。

 
【一価不飽和脂肪酸】
一価不飽和脂肪酸を多く含む油脂の代表的なものはオリーブオイルやこめ油です。最近では、品種改良した一価不飽和脂肪酸のオレイン酸が豊富に含まれているベニバナ油やヒマワリ油などもあります。一価不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸に次いで固まりやすいため、オリーブオイルを冷蔵庫で保存すると白く濁ってしまいます。
 飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸の一番の役割はエネルギー源です。これらのあぶらは直接摂る以外に、私たちの身体の中でも炭水化物から作ることができます。消費するエネルギー以上に取っている場合には体重を増加させているので気を付けましょう。
 
【多価不飽和脂肪酸】
不飽和脂肪酸のうち、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は 「必須脂肪酸」 といわれています。この二つの必須脂肪酸は、体内で作ることができないため、食品から摂取する必要があります。


オメガ3の種類-EPA、DHA、α-リノレン酸 】
 オメガ3(n-3系脂肪酸)は、皮膚の健康を助ける栄養素として2015年4月より、「栄養機能食品」の対象成分になりましたが、現代の日本の食生活では、食生活の欧米化により、オメガ6(リノール酸)を多く摂る傾向があり、オメガ3(α−リノレン酸)は不足しがちです。
EPAとDHAは先月号の表に記載しているようにアジ、イワシ、サバなどの青魚に多く含まれることで知られています。
α-リノレン酸は、えごま油やアマニ油などの植物性の食品に多く含まれており、体内に入ると一部EPA、DHAへと変換されますが、そのEPAやDHAは生活習慣病の予防に効果的と言われています。
EPAは、脳卒中を二次予防する効果があることが国内のJELIS(Japan EPA Lipid Intervention Study)という研究で示されました。
また、心臓病のリスクを減少させる可能性があります。
 
これらの脂肪酸は血中の中性脂肪レベルを下げる、血圧を改善する、抗炎症作用を持つことで知られています。
また、DHAは脳の健康をサポートし、認知症やアルツハイマー病のリスクを減少させることが知られています。
 
【オメガ3の割合】
次のページの表のとおりに「えごま油」や「アマニ油」は脂肪酸の構成比のうち約6割にα-リノレン酸が含まれています。えごま油やアマニ油を意識的に摂取することで、不足しがちなオメガ3を効率的に取り入れることができます。

【まとめ】
体にいい油はオメガ3系です。
オメガ3系の中には、EPA、DHA,αリノレン酸があります。
食事から摂取する方法は「EPAやDHAが豊富に含まれている青魚、αリノレン酸が豊富に含まれているえごま油、アマニ油を意識する」です。
次回はオメガ3についてイヌイットでの例をまとめていきたいと思います。
 
 

2024-08-15 10:24:33

油脂について

 
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