糖尿病の災害時について①
2024年2月
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
元旦から能登半島を中心に大きな地震がありました。津波や火災建物崩壊、道路が寸断されて厳しい寒さの中、いまだに避難生活が続いていますね。
大変心苦しく思い、一日でも早い復興を願います。
栃木県でも2011年の大震災、2019年は大雨による田川の氾濫など、自然災害に見舞われましたね。停電や断水なども経験しました。
我が家では、久しぶりに防災バックの中をみてみたら期限の切れているものばかりだったのでこれを機に見直しました。
地震大国日本で大きな自然災害が起きたとき、糖尿病や持病を持っている人にとっては、過酷な状況となることがあります。
日本糖尿病協会監修
「インスリンが必要な糖尿病患者さんのための災害時サポートマニュアル」や臨床糖尿病支援ネットワーク監修
「糖尿病災害時サバイバルマニュアル」
今月はこれをまとめます。
もしもの時のために災害の備えをしておきましょう。
【はじめに】
災害の時は、3日間は自力で生き延びる準備をしておきましょう。
なぜなら、被災する場所によっては、救助や避難物資が届くのに3日以上かかるところがあるからです。
また、医療機関では、最初に命の危険のある人から治療します。
自分の命は自分で守れるよう、災害用に備えて、最低3日分の非常用の食糧やお水などの防災用品のほかに、糖尿病治療に必要な物品を用意しておきましょう。
もしもの時の災害に備えて今できること
【自分の治療情報を まとめておきましょう】 ↓記載してみてください
【災害対策で普段から心掛けておくこと】
◎可能な限りご自身の服用している
薬の名前、ミリ数を覚えておきましょう。
色や形は似ているものがたくさんあるので、できるだけ
お薬の名前で覚えておくと良いです。
◎
インスリン注射の名前、単位、一日に何回打っているかを覚えましょう。
余裕のある方は、ご自身の使っているインスリンの種類が持続型なのか、超速攻型なのか混合型なのか覚えておくといいです。
◎普段の自分のだいたいの血糖値や直近のHbA1cの変化、
おにぎり2個食べたときの食後の血糖値はどのくらい上がるのかを知っておきましょう。
下記の当院で取り扱っているインスリン・GLP1製剤の一覧表を参考にしてください。
同じグループのものの名前も覚えておくといざという時に代用できます。
GLP1製剤も同じ注射薬ですがインスリンではないので、GLP1製剤のグループ内でほかの薬剤名も覚えておくと良いです。
混合型については例外で配合している薬剤が異なります。それぞれの薬剤を覚えておきましょう。
【災害時の持ち物】
非常食やお水、懐中電灯などが入っている非常用持ち出し袋に+αで糖尿病の患者さんが追加でいれておくと良いものをまとめました
のみ薬 最低1 週間分
インスリン 最低1週間分 (針や消毒綿、針いれのセット)
血糖測定セット
おくすり手帳(写しでも可)
糖尿病連携手帳(写しでも可)
自己管理ノート(SMBG ノート)(写し)
ブドウ糖(低血糖対策)
携帯電話・スマートフォンのカメラで、おくすり手帳・糖尿病手帳・インスリン・ 薬などを撮影して、わかるようにしておくと便利です。
毎月診察の後に写真撮影することを習慣化しておくといつも最新の情報を保持できます。
こちらは市販のブドウ糖やアルコール綿の一例です。
ブドウ糖はタブレットのもの、アルコール綿は個包装のものを災害時用に用意しておくと良いでしょう。
【まとめ】
・ご自身の治療情報についてまとめてみましょう。
・ご自身ののみ薬・注射薬について薬の名前で覚えましょう。
・診察の後はお薬手帳、糖尿病手帳をスマホで撮影習慣化しましょう。
・災害時の持ち物についてみなおしてみましょう。
2024-02-24 17:49:10
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