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糖尿病学会より日本人における2型糖尿病のアルゴリズム③

糖尿病学会より日本人における2型糖尿病のアルゴリズム③

糖尿病学会より日本人における2型糖尿病のアルゴリズム③
 
 
2023年8月
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
 
前回は基礎的な糖の流れとインスリンの働きについて、インスリンの基礎分泌追加分泌、のインスリン分泌不全やインスリン抵抗性についてお話ししました。
それらを踏まえたうえで日本人向けに糖尿病のアルゴリズムが作られた背景について触れられていた日本人と欧米人の違いについて解説していきます。
 
【日本人と欧米人の違い】
日本人と欧米人のインスリン分泌能、インスリン抵抗性を比較すると、正常な状態でも日本人は欧米人と比較してインスリン分泌能が低く、欧米人は糖尿病を発症する過程において 急激にインスリン抵抗性が増しますが、日本人はインスリン抵抗性の増大に比してインスリン分泌能が低い傾向を示します。
東アジア人、白人、黒人のインスリン感受性とインスリン初期分泌を比較した研究でも、インスリン分泌能とインスリン感受性のバランスは人種により大きく異なり、東アジア人と黒人は白人よりも糖尿病になりやすいことが示されています。
 
そこで欧米人と比較して日本人のインスリン分泌能が低く糖尿病になりやすいのはなぜか?という仮説を調べてみました。
 
●理由① 昔の食文化の違いにある

 上のグラフは、ブドウ糖を口から摂取した時のインスリン分泌量を、日本人と北欧白人とで比較したものです。
同量のブドウ糖に対し、日本人のインスリン分泌量がかなり少ないことがわかりますが、その原因は、日本人と欧米人の食文化の歴史の違いにあります。
 
その昔、農耕民族だった日本人はお米など穀物中心の食事をとり、肉を食べることがほとんどないという、高炭水化物・低脂肪の食生活でした。
さらに、とても働き者だったため運動量が多く、炭水化物から得たエネルギーはどんどんと代謝されたので、全体的にやせ型で、インスリンが少量で済む生活を送ってきました。
そのため、自然とインスリン分泌量が少なくても良いという体質に進化して膵臓のβ細胞もそれに適応してきました。
 
対して、牧畜民族だった欧米人は、一度に大量の肉を食べても血糖値の上昇を抑えられるよう、十分なインスリン量が必要でした。
その結果インスリンが十分に分泌されるような体質となり、膵臓のβ細胞もそれに適応してきました。その化の過程で高カロリーに強い体質を作り上げることになりました。
 
糖分をとったときのみならず、空腹時のインスリンの出方にも差があります。
欧米人は空腹時血糖が140㎎/dlまではインスリン分泌が保たれるのに対して、日本人は空腹時血糖が125㎎/dlを超えるとインスリン分泌が落ちてしまうという違いがあるようです。
 
健康診断の通知でもよく見られる、肥満度を示す体格指数「BMI」の基準も異なり、日本人は肥満の基準が25であるのに対し、欧米では30以上に定められています。

このようにインスリンの「分泌量」が少ないのは前述のとおり、食生活や先祖が暮らしてきた背景などより日本人に遺伝的に備わった先天的素因になります。
 
●理由② 昔と現代とで食生活が変わってしまった
高度経済成長期を迎える昭和30年ごろを境に、日本人の食生活は大きく変化します。
 島国である日本は、戦前は今のように海外との行き来や文化交流をすることがほとんどなかったため、農耕生活をしながら、それに沿った食生活をし、その食生活に合った体質がつくられていきました。
 しかし、昭和20年に終戦を迎え、高度経済成長期へと突入した昭和30年ごろから、日本にも海外の文化が流入し始め、食生活は急速に欧米化していきます。肉料理を頻繁に食べるようになったため、それまでほとんど摂っていなかった動物性のたんぱく質と脂肪の摂取量が急激に増えました。

 先述のように、日本人は穀類中心の生活をし、エネルギーの8割を炭水化物から摂っていたため、インスリンの分泌が少なくて済みました。
しかし、その体質は変わらないまま、食生活は大きく変わり、さらに経済成長とともに自動車が普及したことで運動量も大幅に減らしてしまったので、糖尿病を発症してしまう人が急増しました。

そして現代では、共働き家庭の増加などで、子供が親の手料理を食べる機会が減っています。そのため、調味料などを使用せずに食材由来の成分だけで味付けした、体にやさしいだし料理などは日常的に食べられなくなり、代わりにハンバーガー、ピッツァ、牛丼など、糖質、たんぱく質、脂質を一緒に体に入れてしまうファストフードを食す機会が増えてきました。 
 また、血糖値を急上昇させないためには、時間をかけて食事をとることも大切で、日常的には会話をしながら食卓を囲む家族のだんらんがその機能を果たしていますが、今の日本では孤食が進んだうえ、勤勉で効率を好む日本人には、食事の時間をなるべく短くして、仕事や学業、遊びに充てようとする人も多いため、食事時間はますます短くなる傾向にあります。
 こういった背景により、大人はもちろん、子供の糖尿病患者も増えています。
 
まとめ
このような先祖の時代から進化し続けてきた元々持っている遺伝子に加えて現代での食生活の変化が、より日本人の糖尿病を発症させやすくしています。
 

2023-11-10 13:07:04

 
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