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糖尿病学会より日本人における2型糖尿病のアルゴリズム① 

糖尿病学会より日本人における2型糖尿病のアルゴリズム① 

糖尿病学会より日本人における2型糖尿病のアルゴリズム① 

2023年6月
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
 
2 型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム
世界の糖尿病人口の 3 分の 1 はアジア地域に集中しています。
そして、世界の糖尿病患者さんの傾向とアジア地域の糖尿病患者さんの傾向を比較したときに、最も大きな違いがあります。
それは、糖尿病のある人の肥満の程度を含めた病態が大きく異なっていることです。
 
2022年糖尿病学会より「2 型糖尿病治療アルゴリズム」 が発表されました。
少し医療者目線の話題になってしまいますが、スタッフが糖尿病学会に参加して勉強してきたことを皆さんにもお伝えしたいと思っています。
世界とアジア地域の違いや、アルゴリズムが発表された背景と日本においての糖尿病治療の研究結果を示す熊本スタディ、J-DOIT3の概要についてまとめました。
 
【アルゴリズム作成の背景】
アルゴリズムが作成された背景として,3 つのことが挙げられます。
1 つ目は、欧米人と日本人の糖尿病の病態の違いです。
欧米人においてはインスリン抵抗性主体の肥満糖尿病、いわゆる「太っていてTHE生活習慣病です」という見た目の方が多いのに対し、日本人では肥満と非肥満が半々で、インスリン分泌低下と抵抗性の程度が個人毎に異なっています。「痩せているのに糖尿病」という人が欧米よりも多い印象を受けます。
 
2つ目は、欧米と日本の2型糖尿病の治療戦略の違いです。
欧米では 先ほども述べたようにインスリン抵抗性主体の肥満糖尿病が多いことを踏まえて、2021 年度版まで、初回処方薬としてビグアナイド薬(メトグルコ)が推奨されてきました。
また併存症、特に動脈硬化性心血管疾患、腎機能障害、心不全に対して有効性を示す薬剤の推奨を優先してきました。
一方、我が国においては、学会で発表されている
熊本スタディ (Diabetes Res Clin Pract. 28:103-117, 1995)」や
「J-DOIT3(Lancet Diabetes Endocrinol. 5:951-964, 2017)」等の結果も踏まえて(後述します)、血糖マネジメント及び血糖をはじめとする多因子介入 が合併症抑制に重要で、これらを踏まえてそれぞれの患者さんを診てどのクラスの糖尿病治療薬を使用するかを決定することが推奨されてきました。
 
3つ目として、National Database の解析により日本の 2 型糖尿病の初回処方の実態が実際に欧米とは大きく異なることが明らかになったことが挙げられます。
高齢化社会の日本では、高齢者へのビグアナイド薬(メトグルコ)に関する注意喚起が広く浸透しており、それに伴い高齢者には DPP-4 阻害薬 が選択される傾向が認められました。
一方で、糖尿病学会非認定教育施設では初回処方にビグアナイド薬が一切使われない施設が 38.2 %も存在したことより、2 型糖尿病治療アルゴリズムを作成する必要があると考えられました。
 
我が国における 2 型糖尿病治療アルゴリズム作成のコンセプトとして、糖尿病の病態に応じて治療薬を選択することを最重要視し、エビデンスと我が国における処方実態を勘案しています。
 
●熊本スタディの要約
熊本スタディとは
2型糖尿病患者を対象に、1日4回注射の強化インスリン療法による厳格な血糖コントロールにより血糖値をより正常に近づけることで、糖尿病の合併症を抑制できるかを検討した前向き試験です。
対象患者には一次予防(腎症、網膜症ともなし)群と二次予防(単純網膜症あり、24時間の尿中アルブミン排泄量300mg未満)群の両方が含まれていましたが、
熊本スタディで明らかになった解析結果は両方の群で厳格な血糖コントローをして血糖値を正常に近づけることで糖尿病の合併症の発症と進展を抑えられるということでした
 
●J-DOIT3の要約
J-DOIT3(Japan Diabetes Optimal Integrated Treatment study for 3 major risk factors of cardiovascular diseases の略称:ジェイ・ドゥイットスリー)は、厚生労働省の研究事業として実施される臨床試験です。
 
高血圧または高脂血症のある2型糖尿病患者さんを対象に、従来のガイドラインに沿った従来療法または、従来の治療法よりも目標をより厳しく設定した強化療法のどちらかを受けていただき、どちらが糖尿病に伴う大血管症(心筋梗塞や脳卒中)の発症や進行を防止できるかどうかを調べることを目的としています。
従来療法と強化療法の管理目標は下の図の通りです。


「J-DOIT3」で明らかとなった主な解析結果として、強化療法では介入期間中の主要評価項目(心筋梗塞・冠動脈血行再建術・脳卒中・脳血管血行再建術・死亡)の発症が19%抑制された。また、喫煙情報などの危険因子での補正を行なうと、発症は24%抑制されるという結果でした。
 さらに事後解析では脳血管イベント(脳卒中・脳血管血行再建術)に関しては、強化療法で58%有意に抑制されていた
 また、強化療法では糖尿病特有の合併症として腎症の発症・進展を32%抑制し、網膜症の発症・進展を14%抑制されました。
 

 
結果をまとめると、現行のガイドラインにそった治療でも2型糖尿病の合併症を抑制できるが、強化療法により厳格な治療を行なうことで、脳梗塞や心筋梗塞糖尿病固有の合併症(腎臓、眼)の発症をさらに抑えれることを示しています。
 
まとめ
アルゴリズムの背景として、日本人と欧米人の違いやそれに伴う治療方法の違いについて、日本人を対象として行われている糖尿病研究について紹介しました。まずは、従来のガイドラインの目標値を目標として治療を進めて低血糖などを起こさない範囲で目標が達成できたら、よりよい状態を保つために強化療法に進むと様々な合併症の予防に効果的であるという事です。
次回はインスリンの分泌についてです。
 
 
 

2023-11-10 12:41:02

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