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花粉症について③ 2023年5月号

花粉症について③ 2023年5月号

花粉症について③ 2023年5月号
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
 
日本では森林面積の28%が花粉症の原因といえるスギとヒノキで占められています。
特にスギは18%と日本にある人工林の中では最も多い木です。
なぜ、これほどまでに杉が植えられてしまったのでしょうか。
それは、1950年代から1970年代に行われた、拡大造林政策が始まりでした。
戦後は、材木の需要が高まり、さらに住宅建設ラッシュがありました。これにより、質よりも多くの木が必要だということになり、成長が早いスギやヒノキを植える拡大造林政策を行ったのです。
その後も、スギは植え続けられただけでなく、外国産の材木の登場により、売れることなく放置されることになってしまいました。
スギの成長は30年すると花粉を飛ばし始め、それから100年は勢いが止まらないといわれています。
近年では花粉か少ない品種の杉も開発されていますが、杉の木は二酸化炭素の吸収率がとても高く、地球温暖化を防ぐ役割を担っているので伐採されることは考えにくいです。
そのためこれからのスギによる花粉は増え続けることが考えられています。
 
先月は内服薬を中心に解説したので点眼液についてまとめたいと思います。
 
花粉症の時期は目のかゆみが非常につらいですが、目をかいてしまったら、角膜を傷つけてしまいます。飲み薬でも多少は効きますが、やはり目のかゆみに一番良いのは点眼薬です。
 
【花粉で目がかゆくなる原因】
目からスギ花粉を外に出そうとする防御反応です。かゆくなることで目が潤されて、結果として花粉を目の外へ追い出そうとします。
その防御反応は以下のようになります。
 
  • 気中に浮遊空する花粉が目に侵入します。
  • マクロファージが異物と認識して花粉を貪食します。
  • マクロファージがT細胞、そしてB細胞へとバケツリレーのように花粉の情報を次々に渡します。
  • 花粉が次に入ってきたときに撃退するために、B細胞がIgE抗体を作り、肥満細胞に保管しておきます。
  • 花粉が再び侵入して、肥満細胞にくっついた時に保管しておいたIgE抗体が花粉にくっつく。
  • IgEをきっかけに、ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されます。 

この放出されたヒスタミンなどの物質が目の神経や血管を刺激して、かゆみや充血を生み出します。目のかゆみや充血が起こると、涙が出てきます。涙によって花粉を目の外に追い出そうとするのです。
【点眼液】
当院で取り扱っている点眼液はアレジオン、リボスチンと2種類あります。
どちらも抗ヒスタミン薬と呼ばれる点眼液ですがそれぞれ特徴があります。
 
【点眼液の作用】
アレジオン点眼液もリボスチン点眼液も第2世代の抗ヒスタミン薬として目に働きます。
 
抗ヒスタミン点眼液は、アレルギー反応により放出されたヒスタミンの働きを邪魔し、ヒスタミンが引き起こすさまざまなアレルギー症状をおさえます。
作用機序は、ヒスタミンが結合するヒスタミンH1受容体を遮断することによります。その結果、目のかゆみや充血を即効で抑える効果が期待されます。

さらにアレジオン点眼液には、もう一つの効果があります。
それは、「ケミカルメディエーター遊離抑制作用」です。


肥満細胞を安定化させて、結果として肥満細胞からのヒスタミンなどのケミカルメディエーターの遊離・放出をおさえる作用です。こちらはアレルギー作用機序の④・⑤で登場する肥満細胞が、IgEを放出するのを防ぐ効果があります。
リボスチン点眼液は抗ヒスタミン薬のみでケミカルメディエーター遊離抑制作用はないお薬です。
 
アレジオンの良い点は、コンタクトレンズを装着したまま点眼できる点です。アレジオンは2014年12月から防腐剤を、ベンザルコニウムからリン酸水素ナトリウムとホウ酸に変更しました。
ベンザルコニウムはコンタクトレンズが傷つき、同時にコンタクトレンズに吸着して直接角膜を傷つけてしまいます。一方でリン酸水素ナトリウムとホウ酸の成分は、ソフトコンタクトレンズに吸着されないため装着したまま点眼することも可能となりました。
それぞれのまとめです。
●アレジオンLX点眼液0.1%
抗ヒスタミン作用とケミカルメディエーター遊離抑制作用、2つの働きにより目の症状を抑える。
用法容量 通常、1回1滴、1日2回(朝、夕)点眼する
薬価 541.5円/1mLあたり 1本5ml
コンタクトレンズ可

●リボスチン点眼液0.025%
抗ヒスタミン作用により目の症状を抑える
用法容量 通常、1回1〜2滴を1日4回(朝、昼、夕方及び就寝前)点眼する
薬価 98.3円 /1mLあたり 1本5ml

薬価が5倍ほど違いますが、用法容量をみるとリボスチンのほうが2-4倍ほど多く使用するため、思ったより大きな差はありません。
 
コンタクトをしておらずこまめに目薬したい人はリボスチン点眼液、コンタクトをしている人、目のかゆみが酷い人はアレジオン点眼液をお勧めします。
 
もう少しで花粉シーズンも終了ですね。
天気の日は外に出て体を動かしましょう。
 

2023-04-24 11:47:38

花粉症

 
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