花粉症について① 2023年3月号
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
3月上旬は肌寒い日々が続きますが、桜のつぼみも膨らんできて暦上では春になりました。春は卒業や新生活のシーズンでもありますね。
日本人の約4割は花粉症と言われており、3月はスギ花粉が飛び交う季節でもあります。花粉症について特集していきたいと思います。
【花粉症の症状】
花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)の代表的な症状としてあらわれるのは鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの3大症状に加え、目のかゆみなどです。
風邪の症状と似ている部分もありますので症状の違いを載せていきます。
鼻水●風邪などによっておこるやや粘性が高く黄・黄緑がかった鼻水とは違い、花粉症の鼻水は「水のような」粘り気がなくサラサラした透明のものが止まらずに出てきます。
鼻づまり●鼻粘膜が腫れて鼻からのどへの通り道が狭くなることによって、鼻づまりが起こります。
口で呼吸をしがちになりますので、口の渇き、咳といった症状が出たり、においを感じにくいため食べ物の味が分かりづらくなったりします。
くしゃみ●くしゃみは、鼻の粘膜についた花粉を取り除こうとして起こる症状です。
花粉症のくしゃみは、風邪やインフルエンザの際のくしゃみより回数も多く、ほとんどの花粉症の人が悩まされる症状です。
その他にも症状が重い方は、皮膚のかゆみ、頭痛、倦怠感や寝つきにくいといった症状が伴うこともあります。
【花粉症を発症する原因とメカニズム】
花粉症とは、鼻腔内に入ってきたスギ等の植物の花粉に対する免疫反応によって鼻水などの症状が引き起こされることをいい、季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれます。
メカニズムとしては、アレルゲンが鼻腔内の粘膜に付着すると、体内に抗体が作られマスト細胞という細胞に結合します。
その後再びアレルゲンが侵入すると、マスト細胞からアレルギー誘発物質が放出されることにより鼻水等のアレルギー反応が引き起こされます。
また、花粉症の他にダニなどのアレルゲンによって引き起こされる鼻炎は通年性アレルギー性鼻炎と呼ばれます。最近では花粉症と通年性アレルギー性鼻炎の併発や、複数の花粉に反応する花粉症など、ほぼ一年中症状に悩まされるという人も少なくありません。
【鼻の症状を引き起こす原因とメカニズム】
鼻に花粉が入ると、下図のような仕組みで症状があらわれます。
- 空気中に浮遊する花粉が鼻に侵入します。
- 花粉が鼻の細胞内のマスト細胞にくっつくと、ヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサン、PAFなどの物質を放出します。
目の症状を引き起こす原因とメカニズム
目に花粉が入ると、下図のような仕組みで症状があらわれます。
- 空気中に浮遊する花粉が目に侵入します。
- 花粉が目の粘膜内のマスト細胞にくっつくと、ヒスタミンなどの物質が放出されます。
- 放出されたヒスタミンなどの物質が目の神経や血管を刺激して、目の諸症状を発症します。
季節を問わず、いつまでも花粉が飛散し、花粉の種類もかなり多いのが関東です。春先にピークがくるスギやヒノキ科だけではなく、秋のブタクサ属をはじめ草本花粉の時期も長いのです。
今年は特に花粉の散布量が多いそうです。
症状を軽くするためにも、本格的に花粉が飛散する前に先手を打って抗アレルギー薬を飲んでおくことで症状が緩和されるように効果を発揮してくれるので対策してみましょう。
2023-03-03 11:35:34
花粉症