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アディポカインにも善玉と悪玉 2023年1月号 猪岡内科 糖尿病療養指導士 中村郁恵 新しい年になりました。皆さまには健やかに新年をお迎えのこととこころよりお慶び申し上げます。寒い日が続きますがいかがお過ごしでしょうか。 前回の続きで善玉アディポカインと悪玉アディポカインについて触れていきたいと思います。 【善玉と悪玉】 コレステロールは良いコレステロール(LDL)と悪いコレステロール(HDL) 腸内細菌も善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌)悪玉菌(大腸菌)に分けられているように世の中はよく良いものと悪いものに分かれていますね。 それと同じように、アディポカインも善玉と悪玉に区別されています。 悪玉アディポカイン (代表例は TNF-α、PAI-1) 糖尿病になる原因のひとつのインスリン抵抗性を促進させたり、動脈硬化のもとになるプラークを形成するための血栓をできやすくさせて動脈硬化を促進させる働きを持っています。 善玉アディポカイン(代表例は アディポネクチン、レプチン) インスリン抵抗性を改善させて動脈硬化を予防します。 脂肪細胞は善玉アディポカイン、悪玉アディポカインのどちらも産生します。 腸内細菌やコレステロールのように、良玉と悪玉のバランスを保っていればいいのですが、その産生能は生活習慣などにより悪玉の方へ傾いたりします。 内蔵脂肪が蓄積してくると脂肪細胞が肥大化してしまい、産生時の各種アディポカイン遺伝子の発現パターンが異なってきます。 その結果、善玉アディポカインの分泌が減り、悪玉アディポカインの分泌が増えてしまいます。 肥満でない人の脂肪組織には、炎症を抑制する免疫細胞(M2 マクロファージ Treg iNKTなど)が多く存在していますが、肥満となり脂肪細胞が肥大化するとこの抑制側に働いている免疫細胞が減ってしまいます。 加えて、肥満になることで脂肪細胞に炎症を促進する免疫細胞(M1 マクロファージ CD8 T細胞など)が外部から脂肪組織内に浸潤してきます。 こうした現象は、太った脂肪細胞が炎症を起こす免疫細胞を引き寄せるアディポカインを生産してしまう原因と考えられています。 アディポカイン以外にも脂肪細胞から出される脂肪酸(FFA)や高血糖な状態がマクロファージなどの炎症性免疫細胞を活性化する機序も考えられています。 このように肥満が原因となって顕著になる肥大化した脂肪細胞から出る悪玉アディポカインや、脂肪酸、高血糖などが引き起こす炎症免疫細胞など、さまざまな要因で炎症反応が起こり、動脈を傷つけて動脈硬化を促進させています。 長期的な運動習慣は炎症性のアディポカインを減らし、抗炎症性アディポカインを増やすという結果が出ています。 寒い冬に負けないように室内でできるヨガのポーズを紹介します。 ★ハイランジのポーズ 期待できる効果 脚のむくみ予防 腰痛の予防 歩行時のふらつき・つまずき予防 写真では両手を上げていますが、シニアヨガでは安全のために片手を椅子の背もたれに置いた状態で行いましょう。
2022-12-21 11:42:52
アディポカイン