残暑が残る9月の熱中症対策
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
まだまだ残暑が残る季節ですね。
今年の夏は世界的にとても気温が高く、夏はエアコンがなしでも涼しく過ごせるイギリスでは初めて40度を超える気温を記録して、街中が暑さで参ってしまったり、日本では例年より早い6月下旬に梅雨明けしてから7月8月と猛暑が続きました。
日本では太平洋高気圧とチベット高気圧の“ダブル高気圧”となり、最高気温が35℃以上の猛暑日が続いたり、フェーン現象が起こりやすい場所では40℃前後の酷暑になる日もあり厳しい暑さをもたらしました。

その後、9月にかけても南からの暖かな空気が流れ込みやすく、秋のお彼岸の頃までは残暑が厳しくなる見込みです。
環境省によると、全国19都市と沖縄における熱中症患者の10%弱は9月に発生しています。
9月も暑さに負けずに元気に過ごすために、熱中症対策していきましょう。
そこで今回は、熱中症の時におすすめの食事について載せていきます。
【熱中症予防に必要な栄養素について】
暑い夏は食欲が低下し、さっぱりとした口当たりの良い麺類や冷たい飲み物、デザート類が食べたくなりますね。
これらは糖質を多く含む食品です。
糖質は人間にとって大切なエネルギー源ですが、その糖質を
エネルギーに変える代謝にはビタミンB1が必要不可欠です。
まずはビタミンB1の働きについて考えてみましょう。
【ビタミンB1の働き】
B1の仕事① 糖質代謝の補酵素
B1といえば糖質の代謝です。
血液中の血糖(グルコース)は、細胞でピルビン酸になりエネルギー工場であるミトコンドリアの中に入ります。
下の図のようにピルビン酸がアセチルCoAになると、TCA回路がまわり始めます。
「ピルビン酸→アセチルCoA」の酵素
「ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体」ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体では、補酵素のひとつが
ビタミンB1です。(紫の矢印)
ビタミンB1がほかにも
αリポ酸、B5、B2、B3が補酵素であるためにビタミン
B群は仲間で摂るのがおすすめです。

・B1の仕事② TCA回路の補酵素
B1の職場はTCA回路の中にもあります。
TCA回路の右下、山手線だと浜松町のあたりの場所に
αケトグルタル酸→スクシニルCoA があり、B1が補酵素です。(ピンク矢印)
B1が不足すると、糖質代謝がうまく行われずに、
エネルギー不足=疲れやすくなります。
重度のB1不足では、脚気(かっけ)と呼ばれており、主な症状は心不全、末梢神経障害、むくみです。
玄米食から白米食に移行した江戸で流行したのが有名です。
あとは、明治時代の陸軍でも流行りました。
夏は何となく疲れやすい気がしますが、糖質をしっかりエネルギーに変えるためにビタミンB1と摂取しましょう。

ビタミンB1を多く含む食材 豚肉・うなぎ・玄米・発芽玄米・大豆・モロヘイヤ・きのこ類 そら豆など
【ビタミンB1の吸収を良くする食材】
ビタミンB1の含有量が7倍にアップする“アリシン”が含まれている食材を接触的に一緒に摂取しましょう。

アリシンとは、にんにくなどの匂いのもとでイオウ化合物の一種で、ビタミンB1の吸収を良くし糖質の代謝を促進する働きがあります。
豊富に含まれている食材は、にんにく・ねぎ・玉ねぎ・にらなどです。
アリシンは切ったり潰したりすると作用するため、調理の際はすりおろしたり、細かく刻んでの使用が効果的です。
かんたん豚丼
材料 (2人分)
・豚肉 250-300g
・玉ねぎ 半分
・にんにく 1かけ
タレ:(砂糖 大1 酒 大1 醤油 大2 みりん 大1 お好みでゴマ 大1)
・千切りキャベツ 1つかみ
・万能ねぎ 少々
・白米 200g
- キャベツは千切りにして洗っておく。ニンニクをみじん切り、豚肉は1口大に、玉ねぎはくし切りに切る。
- 油をひいてニンニク、豚肉、玉ねぎを炒める。
- お肉、玉ねぎに火が通ったら、タレを絡める。
- ごはんを器によそって千切りキャベツを乗せる。
- キャベツをのせた白米に、具をのせて、万能ねぎを飾ったら完成!
残暑が残りますが栄養を取って乗り切っていきましょう。
2022-09-05 11:51:05
熱中症