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デルタ株についてわかっていること 9月号

デルタ株についてわかっていること 9月号

デルタ株についてわかっていること 9月号
 

猪岡内科 
糖尿病療養指導士 中村郁恵
 
最近米国疾病予防管理センター(CDC)が新型コロナウイルスの危険性をまとめたスライドファイルの内容がワシントンポスト紙に掲載され、大きな話題となりました。

【現在の感染者数】
8月現在、第5波の勢力は増していき、全国の新規感染者数は20000人近く、重症者は全国で1646人と過去最多、首都圏での新規感染者数は5000人にものぼります。
首都圏でのデルタ株の割合は、すでに感染全体の90%を占めていると推定されています。

栃木県でも再び緊急事態宣言が出され、連日200人近くの新型コロナウイルスの新規感染者が出ています。
県内のデルタ株については、今年の6月より感染者が出始めましたが、日々その割合が増えていき、8月現在のスクリーニング検査では74%まで変異ウイルスの感染者が増えており、今後も増えると見込まれています。


【デルタ株とは】
5月末、WHOより懸念される変異株について差別を避けてコミュニケーションしやすくするためにギリシャ文字を使った呼び名が推奨され、最初にインドで見つかった株が“デルタ株”と表記されるようになりました。
 
日本で大流行している第5波は主にデルタ株が主流となってきています。
デルタでは感染力が強いことと、免疫力低下に関与している可能性が指摘されています。
今月がデルタ株の感染力についてわかっていることを特集してみようと思います。
【ウイルスの特徴と変異についての復習】
ウイルスは、蛋白質の外殻、内部に遺伝子(DNA、RNA)を持っただけの単純な構造で、細菌のように栄養を摂取してエネルギーを生産するような生命活動は行いません。
たとえ栄養と水があったとしても、ウイルス単独では生存できません。
自分自身で増殖する能力が無く、生きた細胞の中でしか増殖できませんので、他の生物を利用して自己を複製することでのみ増殖します。
その過程で「変異」を繰り返し、より環境に適応しやすいよう姿を変えていきます。
 
<変異の過程>

➀まず、ウイルス表面にある、とげ状の「スパイクたんぱく質」が、ヒトの細胞表面で受け手となる受容体たんぱく質(アンジオテンシン変換酵素2=ACE2)に結合して細胞内へ侵入します。


➁細胞内では、RNAの情報に従って、ウイルスの素材となるたんぱく質を翻訳(合成)する。一方、RNAは大量に複製され、たんぱく質とともに組み立て・成熟が進んで「子孫ウイルス」ができ、それらが細胞外へ放出されていきます。


➂この過程で、RNA複製の際に一定の確率でミスが生じ、RNAを構成する塩基の配列が変わることがあり、この現象が「変異」と呼ばれます。


【デルタ株の変異】


デルタ株は、人の細胞の受容体にくっつく「スパイクタンパク質」をつくる遺伝子に「L452R」と呼ばれる変異が入り、とげの形が従来株と少し変わりました。
 少し掘り下げると「L452R」はスパイク蛋白の構成アミノ酸で452番目のアミノ酸がL=ロイシンがR=アルギニンに変わっている株と言う意味です。

ロイシンがアミノ酸に変わると、ロイシンは疎水性=水をはじくアミノ酸が、アルギニン=親水性のアミノ酸に変化しますので、アミノ酸が折りたたまってできる蛋白質の形が変わってしまいます。
詳しい仕組みは分かっていませんが、デルタ株のとげは、人の細胞の受容体にがっちりとくっつきやすくなりました。
そのために、次のような変化が考えられます。


【デルタ株はひっつき虫のよう?】

感染症に詳しい専門家は、デルタ株を「ひっつき虫」と呼ばれる雑草オナモミの実に例えます。草むらを歩いた時に服にオナモミのとげがくっつくと、1個ずつ取るのが大変です。
同様に、トゲが変異して形が変わったデルタ株はいったん人の肺などの細胞にくっついたら離れにくいというのです。

これに対し、専門家は従来株を「枯れ葉」に例えます。地面に座った時に服にくっついた枯れ葉は、手で払ったらすぐ落ちます。
同様に、従来株は人の細胞の受け皿にくっついても離れやすいというイメージです。

このようにデルタ株は一度くっついたら離れにくいという変異を持っていますが、これは感染のしやすさと関係があるようです。
 
【デルタ株の感染のしやすさ】
下の表はCDCより発表された1人から感染させてしまう人数を疾病ごとに比較したものです。


風邪が1人→2人、インフルエンザが1人→1人強に感染するのに対して
従来の新型コロナウイルスは1人→1.5-3.5人ですが、
新型コロナデルタ株は1人から5-9.5へと強い感染力であることがわかります。これは、非常に感染しやすいと言われている水ぼうそうに匹敵します。
 
デルタ株の感染のしやすさには、先ほどのような株の形状が関係ありますが、くっつきやすい形状になると、具体的には次のような変化がみられます。


●中国の研究では、感染者の気道ではウイルスの保持量が従来の1260倍も多く、飛沫として排泄される量が桁違いに多いと報告されました。
●シンガポールの研究では、従来の新型コロナウイルスは13日間、デルタ株は18日間と、ウイルスの排泄される期間(viral shedding)が5日長いと報告されました。


このようにデルタ株はくっつきやすく変異したことで、人の中で大量に生産されより長くとどまり、より感染しやすく進化しました。
 
アメリカのCDCよると
デルタ株では、ワクチン接種完了者であっても同株に感染した場合に他者に拡散させるリスクがあると発表されました。
アメリカで発生したクラスター感染のうち、73.8%(469人中346人)がワクチン接種完了者であり、そのうちの9割がデルタ株に感染していました。
ほかの変異株と異なり、ワクチン接種完了者であってもデルタ株に感染した場合にはウイルスを伝染させることが懸念されています。
このようなことより、再びマスク着用が推奨されています。

長期戦で緊張感がだんだんと薄れていきますが、まだまだ感染予防に取り組んでいきましょう。
 

2021-09-01 11:38:28

コロナウイルス

 
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