新型コロナウイルス予防接種について 7月
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
5月末より新型コロナウイルスのワクチン接種が始まりました。
当院でも休日の日曜日を開院して、新型コロナウイルスのワクチン接種の受け入れを始めました。
(現在、病院への直接予約はできませんので、ワクチンの案内が届いた方から
予約サイトもしくは予約専用ダイヤルよりお願いします。)
今月は、コロナウイルスの予防接種と主な副反応についてまとめました。
【コロナウイルスとワクチン】
最初にウイルスが感染するまでの流れと、ワクチンについて説明します。
新型コロナウイルスの感染は、
スパイクたんぱく質を使って細胞表面のACE2受容体と結合して細胞の中に侵入して、増殖する過程をたどります。

新型コロナウイルスのワクチンでは、このスパイクたんぱく質を狙います。
次の図のように、ワクチンはスパイクたんぱく質に対する免疫反応を引き起こさせて、中和抗体を作らせます。
中和抗体とは、ウイルスに結合してウイルスが細胞に結合する機能の邪魔をする抗体です。
そうして、スパイクたんぱく質がACE2受容体とくっつくことを阻止し、感染を妨げるように働きます。
このようにワクチンは免疫反応に働きかけて、抗体を獲得していきますが、
一方で
副反応も起こります。
【一般的な副反応について】
新型コロナウイルスの副反応は、一番早く現れるアナフィラキシーショックのほかに帰宅した後に、様々な症状が現れます。
ワクチンの主な副反応に関する
海外の報告では、
注射した部位の痛み、腫れ、赤くなる(75%)、
全身の反応では、
発熱(25%)倦怠感(50%)、
頭痛(44%)、でした。

いずれも
通常1~2日で治まる一過性のものとされています。
【1回目より2回目のほうが副作用は強い】
ワクチンを打つと体内に異種タンパク質が入ることで
体が反応して、炎症性サイトカイン(炎症反応を促進する働きを持つタンパク質)などを産生し、鼻水、発熱、体のだるさなどが生じます。
これはワクチンそのものによる副次的なものではなく、
免疫応答(外来の侵入者から身を守るために体内で起こる反応)によるものなので、『副反応』と呼ばれます。
そして、
1度目の接種によって体内にある程度の免疫状態が作られるため、2度目の接種の時に強く出ることが一般的です。
【副反応は、女性で若い人のほうが強い傾向にある】
副反応は、比較的
男性よりも女性に多くみられ、年齢も若いほうが出やすいと報告があります。
それは女性ホルモンと関係しています。女性ホルモンの働きにより、
女性はもともと男性よりも免疫反応が強いといわれています。
この傾向は、新型コロナウイルス感染症を含めた
様々な感染症に対して強い抵抗力があるという利点がある一方で、
体内の免疫反応を利用して特定の病原体に免疫をつけようとするワクチンにおいては副反応が起きやすくなる原因となります。
厚生労働省のデータでは、ワクチン2回目の接種後に発熱した人の割合は、
女性4割超、男性は3割弱程度と有意差が出たようでした。
また、免疫反応は
高齢者よりも若い人のほうが強いために、若い人のほうがより副反応が強いといわれています。
【アナフィラキシーショック】
重篤な副反応のひとつにアナフィラキシーショックがあります。
アナフィラキシーショックとは、アレルゲンなどに対して
全身性のアレルギー 反応が引き起こされた状態で、主な症状では、
蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下、意識がもうろうとする状態が挙げられます。
そのため、接種後15~30分は待合室で体調の変化がないかを確認させていただいております。
次の図では、海外のデータでアナフィラキシーショックが起こる確率を比較しました。
新型コロナウイルスのワクチンでアナフィラキシーショックが起こる確率は、
インフルエンザワクチンよりも多いものの、麻酔や、薬剤、蜂に刺されるよりは低いようでした。
激しい運動は避けて、普段の生活を過ごしていただいて大丈夫です。
副反応が辛い場合のサポート体制をご案内します。
【副反応外来のご案内】
当院でも
平日・土曜日の診療時間内(9時~12時30分、14時30分~18時)の間で解熱鎮痛剤の処方などは致しております。
(日曜日のコロナウイルスワクチンの接種の時は注射のみとなりますのでご注意ください)
夜間にワクチン接種後の副反応外来を開いている病院があります。
2021-06-28 11:13:34
コロナウイルス