正しい換気方法について ~CO2の見える化~
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
初めての「緊急事態宣言」が出されてから1年がたちました。
現在のコロナウイルスの新規感染者はウイルスの変異とともにくすぶりながら増えてきていますが、一方で緊張感はさほどでもないように感じます。
医療従事者や高齢者では徐々にコロナウイルスのワクチン接種が始まり、今後徐々に一般の方へもワクチンが普及する見込みです。
最近ワクチンについてのお問い合わせをお受けすることがありますが、現状では
医療機関でワクチンの予約を直接お受けすることが出来ません。
お問い合わせは各予約センターへお願いいたします。

スムーズにワクチン接種をすすめるために、基礎疾患があり通院している方は、
事前にワクチンを打っても大丈夫か主治医にご確認をお願いします。
2回目の予約は1回目の接種を終えた日の当日より可能となるようです。
今月は現在の感染状況、正しい換気方法とCO2モニター、当院での対策について今一度発信していこうと思います。
“体内時計シリーズ”はまた来月より再開予定です。
【現在の感染状況】
全国の新規感染者数は、2021年5月時点で年明けに匹敵するほどまで増えてしまいました。栃木県でも毎日30人を超える新規感染者数が出ています。
そして、栃木県での変異株(N501Y)の割合は3月下旬では新規感染者数のうち15%程度であったものの、
5月に入ってからは約60%を超え、変異株が主流となってきました。
イギリス、南アフリカ、ブラジル、フィリピンで確認されたウイルスがこの変異(N501Y)を有しており、ウイルスのスパイクタンパク質がヒトの細胞と結合しやすくなったため、
従来のコロナウイルスと比較して、感染力が強い可能性があります。
その中でもイギリス、南アフリカでの変異株はより
重症化しやすい可能性が指摘されています。
【ウイルスの変異】
新型コロナウイルスは人の細胞に入り込み、遺伝物質のRNAをコピーさせて増殖しますが、その時に一定の割合で
コピーミスを起こします。このミスによる変化で、性質が少し変化した変異株が生まれます。
武漢系統の株は消失し、現在は欧州系統の株が、N501Yの変異株に置き換わりつつあります。
【感染対策と換気】
ニュースでは、
パーテーションで仕切りをしていたのにも関わらず、コロナウイルスのクラスターを招いてしまったことが報道されました。
私たちはパーテーションで仕切ってあることで
“安心感”を抱きますが、これは天井が低かったり、窓を閉めていたり、その場の空気の流れが滞ってしまい
換気が不十分だったために起こってしまったクラスターでした。
感染症対策では
「室内の空気の換気をしましょう」とありますが、“
換気が足りているか”を一体どのようにして知ればいいのでしょうか。
1つの基準として
空気中の二酸化炭素CO2の濃度を測る方法があります。
その機械は
CO2モニターと呼ばれ、温度計・湿度計のように
CO2が数値化されて表示されます。
元々、CO2モニターは建物内の空気中の“二酸化炭素”を検出して快適な空間を提供することを目的として開発されました。建築関係のほか、地球温暖化防止に取り組む企業へ勤務している方はよく使用していると思います。
人が室内にいて呼吸をするとCO2の濃度が上がり数字が高く表示されますが、その数字が高くなっていると換気が足りていないことになります。
外気にCO2濃度を近づけるように換気をすることで、適正な数字が保たれて十分な換気がされていると判断します。
【当院の場合】
当院でも待合室にCO2モニターを設置しており、混雑時とそうでないときの数字を比較してみました。
ある1日の結果は、
混雑時 856ppm、
非混雑時 641ppmほどでした。
厚生労働省での空気環境の基準ではCO2の濃度1000ppm以下を保つことが推奨されており、混雑時でも定められたCO2の基準を超えない結果となり、安心しました。
常に待合室に設置してありますので、皆様もどうぞご覧ください。

機械に息を吹きかけてみるとどうなるのか試してみました。

呼気に含まれるCO2を感知し、3645ppmと驚く数字になりました。
もしこのように基準を超えてしまったときは、すぐに窓を開けて対策できるのも数値の見える化の良いところですね。
CO2モニターの購入を検討される方がいるのであれば
“NDIRセンサー”が使われているか確認できるとよいでしょう。
ガス式のものと比較してより精度が高いようです。
人の集まるところでは、窓を開けて“換気”をすることが一般的になってきましたね。
換気を見える化する“CO2モニター”はテレビでも特集されるようになり、病院や飲食店などで徐々に認知されるようになってきました。
人の集まるオフィス、公共機関、学校、習い事の教室、飲食店、美容室などで働いている方や経営している方、
二酸化炭素の見える化をぜひ職場へ提案してみましょう。
2021-06-28 11:10:26
コロナウイルス