新型コロナウイルスと熱中症 7月号
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
30度を超える真夏日が続き、マスクをしていると息苦しさや暑さを感じる人も多いのではないでしょうか。
気象庁が発表した予報によると、今年の夏は平年よりも暑くなる見込みです。
さて、まだまだ感染者が出ている新型コロナウイルスですが、感染拡大を防ぐために
「新しい生活様式」が専門家より示されました。
①身体的距離の確保
②マスクの着用
③手洗いや、「3密(密集、密接、密閉)」を避ける
など、これまで皆さんが行ってきた感染対策を継続するような生活様式の実践が求められています。
一方で、猛暑が続く季節になりは熱中症による死者は増加しています。
2019年の栃木県内での熱中症救急搬送患者が1200人、死亡者は20人ほどでした。
ちなみに6月17日現在の栃木県内での新型コロナウイルスの感染者数は66人、死亡者は幸いにも0人です。
熱中症はコロナと違い感染するものではありませんが、注意を怠ると命にかかわるような危険な状態になります。
マスクの着用も求められる「新しい生活様式」で過ごす中で、どのように熱中症に注意したらよいか環境省が公表したものをまとめました。
●マスクは適宜はずす
マスクは飛沫の拡散予防に有効で、
「新しい生活様式」でも一人ひとりの方の基本的な感染対策として着用が求められています。
しかし、マスクを着用していない場合と比べると、
心拍数や呼吸数、血中二酸化炭素濃度、体感温度が上昇するなど、身体に負担がかかることがRobergeらの実験より示されています。
したがって、
高温や多湿といった環境下でのマスク着用は、熱中症のリスクが高くなるおそれがあるので、部屋に1人でいるときや屋外で人と十分に離れている場合には、マスクを外すようにしましょう。

マスクを着用する場合には、強い負荷の作業や運動は避けましょう。
周囲の人との距離を十分にとれる場所では、マスクを一時的にはずして休憩することも必要です。
●エアコン使用時も換気をしましょう
熱中症予防のためにはエアコンの活用が有効です。
しかし、
一般的な家庭用エアコンは、空気を循環させるだけで換気を行っていません。
新型コロナウイルス対策のためには、
冷房時でも窓開放や換気扇によって換気を行う必要があります。換気により室内温度が高くなりがちなので、
エアコンの温度設定を下げるなどの調整をしましょう。
対角線上の窓を2か所あけることが理想的ですが、窓が1か所しかない場合は扇風機を窓の方に向けて部屋の空気を外に出すようなイメージで換気します。
●体調がおかしいと思ったら涼しい場所に移動しましょう
少しでも体調に異変を感じたら、速やかに涼しい場所に移動することが、熱中症予防に有効です。
一方で、人数制限等により屋内の店舗等にすぐに入ることができない場合もあると思います。その際は、屋外でも
日陰や風通しの良い場所に移動して涼んでください。
●日頃の健康管理について
「新しい生活様式」では、毎日の体温測定、健康チェックをお願いしています。
ご自身の平熱を知っておくことで、「何かおかしい」と思ったときに発熱に早く気づくことができるので、これらは熱中症予防にも有効です。
また、体調が悪いと感じた時は、無理せず自宅で静養するようにしましょう。
【今年は特に熱中症リスクが高い?】
とくに高齢者は熱中症が重症化するリスクが高いとされています。
厚労省によると、2018年は記録的な猛暑により、全国で1581人が熱中症で亡くなっていますが、そのうち
約8割は高齢者でした。
今年は
コロナ渦より、多くの方が“巣ごもり”生活を送ってきましたね。
「家から出なければ熱中症にならないのでは?」と思うかもしれませんが、
高齢者の熱中症は屋内で起こることがほとんどです。

人間の体は、日光を浴びるなどしながら暑さに慣れていき、夏本番を迎えるまでに徐々に自律神経の働きを整えていきます。
その過程で汗をかきやすくなったり、体の熱が逃げやすくなったりして、熱中症に耐えられるような体作りをしていくのです(暑熱順化)。
ところが今年は、外出自粛に伴って巣ごもりしているために、
暑熱順化が充分に進んでおらずに、急激な気温の上昇に体がついていけないことが懸念されています。
そのため、例年よりも熱中症を引き起こすリスクが高いと予想されています。
涼しい時間帯に有酸素運動をして、汗をかいて暑さに耐えられる体作りをしましょう。
【マスク着用のかくれ脱水に注意】
飛沫拡散防止のためにつけているマスクですが、暑い中ずっとつけていると息苦しく感じたりしますよね。
本来、人間は皮膚や口からたまった熱を外に出していますが、マスクをずっとつけていると、口から熱を出しにくくなります。
それだけでなく、
マスクをしていると口の中は湿っぽくなり、喉が渇いたことに気づきにくくなります。
さらに、
マスクをつけていることで十分な水分補給ができずに、脱水症状を引き起こしやすくなります。
気づかないうちに
“かくれ脱水”を引き起こしてしまうことになりかねないので、
自宅では適時マスクを外して、喉が渇いてなくても水分補給を心がけましょう。
厚労省によると、
食事以外に1日1.2リットルの水分摂取が目安といわれています。
【汗をかいたときに自家製レモン水】
汗をかくほど動いたときに、失われた塩分や糖分とともに水分補給できるレモン水のレシピを紹介します。
注意!
血圧の高い方や塩分の気になる方はコップのフチにつける塩を少なくしましょう。
糖尿病の方は、はちみつ(砂糖)の量を少なくしましょう。
普段の水分摂取はお水かお茶がおすすめです。
たくさん汗をかくほど動いたときには自家製レモン水で水分補給しましょう。
2020-06-26 11:22:51
コロナウイルス