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猪岡内科コラム

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間違った熱中症対策をしていませんか?

間違った熱中症対策をしていませんか?

間違った熱中症対策をしていませんか?
 
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
 
今年は冷夏でクーラーいらずの過ごしやすい日々が続いていました。
雨ばかりで洗濯物がカラッと乾かなかった時期が続きましたが、ようやく梅雨もあけて真夏日が続くようになったので、そろそろ熱中症対策も考えなければいけませんね。
 
熱中症対策のつもりが、救急搬送のはめに・・・
ということがないように知っていたほうが良い、医療現場のよくあるストーリーを載せたいと思います。
 
【救急外来では】
「先生、血糖値がはかれません!高すぎでエラーです!」
救急外来には意識を失ったAさんが運ばれてきました。
Aさんは特に持病もなく、通院歴もありません。
 
救急外来の看護師が血糖値を測ろうとすると、測定可能な範囲を振り切ってのエラー表示。
医師が慌ただしく採血・点滴の指示をするとAさんの血糖値は1000㎎/dlで、通常の10倍ほどの高血糖な状態でした。
 
大量の点滴とインスリン投与により、Aさんの意識が戻ったのは数日後。
Aさんの話でようやく入院までの経緯が明らかになりました。
 
【熱中症対策で飲んでいたつもりが】
Aさんは真夏日に町内の野球大会に参加。熱中症対策としてスポーツドリンクを5ℓほど飲んだそうです。
その夜ものどの渇きがおさまらず、体もだるいため、熱中症を心配したAさんはさらに3ℓほど飲みました。
しかし、のどの渇きはさらに酷くなる一方でした。
ここで受診していれば違ったかもしれませんが、Aさんは「熱中症なら水分をとって休んでいれば大丈夫」という思いがあり、病院に行かずにいました。
日に日に倦怠感がまし、食欲もなく、喉ばかりが渇きます。
喉は乾くけど飲めば飲むほどトイレも近くなり、仕事にならないほどに酷くなります。
早退を申し出たところで意識を失ってしまったという経緯でした。

【ペットボトル症候群】
実はこれは、典型的な「ペットボトル症候群」の経過です。
意識がなくなるほど重症例ではありませんが、当院にも年に1人は軽い「ペットボトル諸侯群」と思われる方がいます。
スポーツドリンクやソクトドリンクなどの糖質の多い飲料を大量に摂取することで急激な高血糖状態になり、最悪の場合は命の危険を伴います。
ペットボトル症候群は気づかない間に悪循環にはまっているのですが、そのわけを見てみましょう。


【高血糖が続くと悪循環に】
スポーツドリンク、ソフトドリンクなどの清涼飲料水をたくさん取りすぎて糖質の量が多すぎる(=血糖値が高くなりすぎる)状態が続くと、
・糖質を処理するためのインスリンが十分に分泌できなくなる
・分泌できたインスリンも必要な臓器に取り込みが低下する

ということが起こり、これら2つの悪影響は、血糖値が高くなればなるほど増大します。
 
清涼飲料水を飲む→血糖値が上がる→のどが渇く→余計にドリンクを飲む→血糖値がある→インスリンの働きが悪くなる→余計に血糖値が上がる→のどが渇いてまた飲む

一方で、腎臓では
多くなりすぎている糖分を大量の水分とともに尿にする→水分が失われて脱水になる→のどが渇く→ドリンクを飲む
という、悪循環高血糖を悪化させます。
Aさんはずっと清涼飲料水を飲んでいたので、この悪循環はどんどん悪化しました。
 
これは、Aさんのように糖尿病でなくても糖分をとりすぎると発症する可能性があります。
 
【細胞内の脱水】
血液の糖分が濃くなると、血漿浸透圧が高くなります。
浸透圧は低い方から高い方に水を移動させて同じ濃度を保とうとする性質があります。
細胞、血管、その間に細胞膜があります。
血管の中は糖が過剰になっていて浸透圧が高い状態です。
均衡を保とうとするため、細胞から血管へ水分が移動します。
そのため、細胞の中は脱水になります。

治療では、この脱水を補正するために、大量の点滴を行います。
 
【ケトンがたまる】
脱水とともに、たまに起こるのがケトンの問題です。


高血糖で糖質が処理しきれなくなると、体は脂質エネルギーにシフトします。
脂肪を燃焼するだけならば良いことですが、脂肪を燃焼する際に途中で作られる「ケトン体」という物質が問題です。
通常ケトン体は害のないものですが、糖質がうまく処理できずにエネルギーの大半を
脂肪に頼る状況では話が変わります。

酸性物質の「ケトン体」が極端に体内に溜まると、血液が酸性に傾いて吐き気、腹痛、意識もうろうとする症状「ケトアシドーシス」になります。
このケトンを尿に出す過程でNaやKの電解質も一緒に失います。
 
 
治療ではインスリンを点滴の中に入れて、糖質エネルギーを使えるようにすること、失った電解質も補充します。
 
【何を飲んだらいいの?】
飲料に気を付けることで、ペットボトル症候群を予防することができます。
普段の水分補給は、お茶やお水、カロリーゼロの飲料など糖質の入っていないものが良いでしょう。
長時間スポーツをする場合には少しの塩分・糖分をとることは推奨されています。
市販のものでは、ポカリスエットよりは経口補水液などの糖分の低いものを選んで、糖分の摂りすぎにならないように、お茶や水と合わせて飲むとよいです。
 
【自宅で作れる簡単な経口補水液レシピ】
・水 500ml
・ブドウ糖(なければ砂糖) 大さじ1(9g)
・塩 小さじ1/6(1g)3本指で1つまみがおよそ0.8gです
・レモン果汁 25ml
・あればローズマリーなどのハーブ
※甘さ控えめなのでブドウ糖(お砂糖)は大さじ2まで増量しても大丈夫です。
※血圧が高めの方は塩の量を半分にします。

7~8kcal/100ml
炎天下でのスポーツで失われる汗は最大で2ℓ/1時間にも及びます。
汗をかく運動するときには、30分前までに250ml~暑い日は500mlの水分補給をして、競技中には1時間に500~1000mlをこまめに摂取することが勧められています。
 
基本的にはカロリーがないもので水分補給して、たまにジュースやスポーツドリンクをのんで暑い夏を乗り切りましょう。
 

2019-09-24 10:05:53

熱中症

 
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