なぜ冬は風邪をひきやすいの?12月号
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
11月現在、日本では新型コロナウイルス、インフルエンザの感染状況も落ち着いている印象を受けます。
気温が低くなり空気が乾燥する「冬⛄」この季節になると、風邪をひきやすくなり体調を崩される方も多いのではないでしょうか?
風邪やインフルエンザの流行には「空気の乾燥」が大きく関わっているので、今月はその理由と対策について載せていきたいと思います。
【
冬の対策 ~乾燥対策と風邪予防】
・なぜ冬は乾燥するのか?
冬になると、-50℃にもなるシベリアで発生した高気圧が日本海を渡って日本海側に雪を降らせます⛄
季節風はその後、山を越えて太平洋側に吹き降りますが、日本海側に雨や雪を降らせて水分を放出しているので、
冬の風はとても乾燥しています。
さらに冬は暖房を使用します。空気は暖めると乾燥するので、
乾燥している冬の大気と暖房により、更に乾燥が進んでしまいます。
・空気が乾燥すると風邪をひきやすくなる?
風邪の原因は9割がウイルスの感染です。
風邪のウイルスは200種類以上あるといわれますが、多くは
冬場の低温乾燥の環境で空気中の飛散量が増加します。
風邪をひくと
1回の咳で10万個、1回のくしゃみで100~200万個の飛沫が空気中にばらまかれます。
このウイルスは
湿度の高い状況では、すぐに地面に落下してしまいますが、湿度が40%以下になるとウイルスの水分が蒸発して軽くなるため、落下速度はゆるやかになって比較的長い時間、空気中を漂うことになるのです。
侵入してきたウイルスは
通常は鼻やのどの粘膜にある線毛のはたらきによって体の外に排出されますが、この
線毛が乾燥や冷気によって潤いを失い働きが低下すると、うまくウイルスを外に出せなくなります。
弱った鼻やのどから感染して体内に侵入しやすくなり、風邪やインフルエンザにかかりやすくなると考えられています。
また、空気が乾燥すると、ノドの粘膜が乾燥して炎症をおこしやすくなり、ウイルスを防御する力が衰えてきます。こうしたことが重なって、空気が乾燥する冬には風邪をひきやすくなります。
特に、抵抗力が弱い子供や高齢者はウイルスに感染しやすいため、風邪やインフルエンザの予防には
「乾燥対策」を行うことが大切です。
【乾燥対策のポイント】
・湿度をこまめにチェック
暖房を使うと室内の湿度は外よりも低くなり、さらに空気が乾燥します。湿度計などを使って、こまめにお部屋の湿度をチェックして適切な対策をすることが大切です。
室内の湿度は50~60%を保つのがおすすめです。湿度が40%を下回ると、ウイルスが浮遊しやすくなり、一方で加湿しすぎると結露の原因になってしまうようです。
家庭では加湿器以外にもお手軽な方法があります。次のようなものでもやんわりとした加湿効果が得られます。
・観葉植物
観葉植物には室内の乾燥をやわらげる効果があります。
球根の水栽培も、水分が蒸発して室内の湿度を上げてくれます。今の時期だとヒヤシンスの室内栽培が旬ですね。
(画像引用)
・コーヒーフィルターで加湿
作り方は、コーヒーフィルターの上部を花弁のように波状にカットし、水が入ったコップに入れます。コーヒーフィルターが水を吸収し蒸発することで、やんわりとした加湿効果があります。
(画像引用)
その他
・濡れタオルや洗濯物の部屋干し
・ストーブの上にやかん
・床を水拭きしながら加湿してきれいなお部屋に
・お湯の方が気化しやすいので洗面器にお湯を張る
・霧吹きのお水やルームミストでカーテンにお手軽加湿
・マスクをつける
お手軽に乾燥対策をして、風邪予防しましょう。
次は風邪に良いといわれる生姜についてです。
【風邪予防にいい?生姜】
この時期になると、スーパーで生姜湯、生姜キャンディー、生姜パウダーなどを
よく見かけます。
生姜の成分の中で風邪予防や、風邪を悪化させない効果が期待できると言われている成分は
「ジンゲロール、ジンゲロン、ショウガオール」の3つです。
「ジンゲロール」は熱に弱く生の状態に多く含まれており、のどの痛みなどに効く
殺菌作用の働きがあります。
「ジンゲロン」はジンゲロールに熱を加えることにより作られる成分で、
身体の内部から温める効果により、免疫力向上に効果が期待できます。
「ショウガオール」もジンゲロールに熱を加えることにより作られる成分で、ジンゲロールとほぼ同じ作用がありますが、
胃腸の働きを活発にし、身体を内側から温める効果が期待できる成分です。
生姜は生の状態、熱の加え加減により成分の含有量が変化します。
風邪の引きはじめなどは生の生姜、体を温めたいときは加熱した生姜を使ってみましょう。
【生姜はちみつ】
- 生姜を薄切りにします。
- 生のまま、煮沸消毒した保存容器に入れてはちみつを注ぎます。
- そのまま室内に置いておけば、しょうが汁がはちみつの中に溶けだして翌日から使えます。
●保存方法と賞味期限
生姜がはちみつにどっぷりと使っている状態であれば、常温保存が可能です。生姜の頭が見えてきたら冷蔵で保存しましょう。
賞味期限はきちんと煮沸消毒した瓶を使えば約3カ月ほどです。
温まりたいときは、
紅茶に入れたりお湯割りにしてホットドリンクに☕
風邪の引きはじめには
薄切りレモンとぬるま湯でのどを潤すドリンクがおすすめです。
炭酸割りにするとジンジャエールになり気分転換になります。
(写真引用)
今年も1年お世話になりました。去年に続いて大変な年でしたが、落ち着いた冬が迎えられることを祈っています。
来年もよろしくお願いいたします。
2021-12-01 10:08:19