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猪岡内科コラム

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肺炎球菌

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肺炎球菌の予防接種について 11月号

 
肺炎球菌の予防接種について 11月号
猪岡内科 
糖尿病療養指導士 中村郁恵
 
肌寒い季節になってきましたね。
先月は肺炎の原因の半数を占めており、重症化しやすいといわれている「肺炎球菌」についてお話ししました。
その肺炎球菌の発症や重症化に予防効果のある“肺炎球菌ワクチン”について、
ワクチンの種類やその違いなどを解説していきます。
 
【肺炎球菌ワクチン】
大人が接種できる肺炎球菌ワクチンには、23価肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP)と、13価肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー13)という2種類があります。
これらのワクチンは肺炎球菌が原因でおきる肺炎の重症化や発症の予防に80%ほど効果があります。 

【肺炎球菌ワクチンのカバー力】 
「23価」肺炎球菌ワクチン、「13価」肺炎球菌結合型ワクチンの「価」とは、肺炎球菌の莢膜(きょうまく)がもっている型のことです。


この「価」の違いにより肺炎球菌は現在90種類以上の「型」があり、それぞれ毒性の強さや感染力の強さなどの性質が少しずつ変わります。
そして、全ての型が病原性を持つわけではなく、人間に対し強い影響を示す型はいくつかに限られています。

「23価」肺炎球菌ワクチンというのは、肺炎球菌の90種類以上ある型のうち23種類の型を、「13価」肺炎球菌結合型ワクチンはその中の13種類の型をカバーしており、それぞれ病原性のある型に焦点をあてています。
13価ワクチンでカバーする型は、ほぼ23価ワクチンでカバーできています。
 
多くの種類の型をカバーできる23価ワクチンのほうが一見優秀にみえますが、抗体を作る免疫への作用に違いがあります。
 
ここで免疫の話を交えて23価ワクチン、13価「結合型」ワクチンについての違いを説明していきます。
少し難しい話になりますので、要約は3ページの【ワクチンの違いの要約】をご覧ください。
 
【免疫の話と2つのワクチンの違い】
体の中には「B細胞」というリンパ球の一種があり、このB細胞は外からの刺激を受けると、敵を排除するための「抗体」を作り、戦いに挑みます。
1つのB細胞は1種類の抗体しか作れません。
23価ワクチンは、このB細胞を直接刺激して23種類の肺炎球菌の型の抗体を作り、しばらく体の中のパトロールを強化させることを促すワクチンです。

一方、体の中には「T細胞」といわれるリンパ球もあります。
その中の“ヘルパーT細胞”は「免疫の司令官」と言われており、T細胞は敵の情報を受けると、B細胞にその敵の性質、弱点などの情報を詳しく提示します。
するとB細胞は、より的確に敵を排除するための抗体を作れるようになります。
つまり、T細胞が詳しい顔や背丈を指名手配し、それを記憶したB細胞が敵を倒す武器を大量生産し、パワーアップして戦いに挑みます。
 
T細胞から情報を教えてもらったB細胞は、しばらくすると寿命を迎えますが、そのうち「メモリーB細胞」という記憶部隊では、その情報を一生記憶して体内に残り続けます
 
この記憶のおかげで、次に肺炎球菌が侵入してきたときに、より早く、より多く必要なB細胞を作ることができ、すぐに抗体を大量に作ることができるようになります。
(これを「免疫応答」といいます)。
 

13価結合型ワクチンは、この「T細胞」が認識できる成分が「結合」されており、これにより上記に示したような「免疫応答」を導くことが出来るワクチンです。
一方23価ワクチンには残念ながらこの「免疫応答」を導くことができず、時間が経つと効果がなくなってしまいます。
 
【ワクチンの違いの要約】
2つのワクチンの特徴の違いを箇条書きに書いていきます。


●23価肺炎球菌ワクチンであるニューモバックスNP
・肺炎球菌を広くカバーできます。
・値段が安く、年齢によっては自治体からの補助を受けることができます
・効果が長続きしないため、5年に一度は打つ必要があります
 
●13価肺炎球菌結合型ワクチンであるプレベナー13
・主要なものは大体カバーできていますが、23価ワクチンと比較してカバー力は広くありません。
・メモリーB細胞の働きにより敵を記憶させるため、ワクチンの効果が持続します。
そのため、打つのは生涯に一度でOKです。
・ニューモバックスよりも高価です。
 
65歳を過ぎたら、まずは、自治体の補助で受けられる23価肺炎球菌ワクチンを受けて、5年後の70歳を過ぎたら、13価肺炎球菌結合型ワクチンを受けることがおすすめです。
当院では肺炎球菌の予防接種が2回目の方には13価肺炎球菌結合型ワクチンを勧めています。
 
自治体からの補助の対象者や問い合わせ先など記載いたします。
【宇都宮市の助成の対象者】
次の方を対象に生涯で一度の助成が出ており、自己負担2500円で肺炎球菌ワクチンを受けることが出来ます。
65歳(昭和30年4月2日から昭和31年4月1日)
70(昭和25年4月2日から昭和26年4月1日)
75(昭和20年4月2日から昭和21年4月1日)
80(昭和15年4月2日から昭和16年4月1日)
85(昭和10年4月2日から昭和11年4月1日)
90(昭和5年4月2日から昭和6年4月1日)
95(大正14月4月2日から大正15年4月1日)
100(大正9年4月2日から大正10年4月1日)
または60歳から64歳の方で「心臓・じん臓・呼吸器の機能」又は「HIVによる免疫の機能」に障がいを有する方(身体障がい者手帳1級程度)
助成についての手続きなど詳しくは、宇都宮市保健所(電話番号028-626-1114お近くの地区市民センターへお問い合わせください。
 
また一段と寒くなりますので、暖かくしてお過ごしください。
 
 
 
 
 

2020-11-04 11:04:15

 肺炎球菌について知ろう① 10月号


 肺炎球菌について知ろう① 10月号
 
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
 
過ごしやすい季節になってきました。
猪岡内科では、10月中旬よりインフルエンザの予防接種を始める予定です。
今月は、“肺炎球菌”について解説したいと思います。
 
コロナウイルスが流行してから“肺炎”は注目されることが多い病気になりました。
日本では肺炎で亡くなる方は、がん、心臓病、脳卒中に次いで4番目に多く、年間8万人が亡くなっています。
その肺炎をおこす原因として細菌、ウイルス、リケッチア、カビなどがありますが、中でも肺炎球菌は病原性が強く、肺炎の約50%を占めていると言われています。
 
【肺炎球菌について知ろう】
肺炎球菌は1881年、パスツールによって初めて同定された細菌の1つで、鎖状に増殖することから肺炎レンサ球菌(Streptococcus Pneumoniae)とも言われており、その種類は90種類以上あります。

肺炎球菌は、人の鼻やのどに常に存在しており、普段は病原性が発揮されません。
 
構造としては、次の図のようにポリサッカライド(多糖体)からなる莢膜(きょうまく)を持つものと持たないものがあり、この莢膜を持つ肺炎球菌が人に対する病原性を持っています。
 
 

莢膜は分厚く、からだの免疫からの攻撃に強くて、退治することが難しい細菌です。
 
【肺炎球菌と肺炎】
おもに小児や、成人の5%程度の人の鼻やのどなどに常在し、咳やくしゃみなどの飛沫により周りに感染を広めます。

普段は病原性を発揮しない肺炎球菌ですが、風邪やインフルエンザなどが原因で免疫力が下がったり、のどの粘膜が損傷を受けると肺炎球菌の発育・増殖が促進されて、その名の通りに肺炎をひき起こす可能性があります。
また、肺炎球菌は肺炎のほかに、稀に副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎、脳炎などを引き起こします。
 
健康な成人の肺炎の原因菌はマイコプラズマが多いですが、高齢者の肺炎の原因は肺炎球菌が一番多く、他の肺炎と比較しても重症化しやすいとされているため、平成26年より定期の予防接種として推奨されて各自治体で補助も受けられるようになりました。
 
【宇都宮市の助成の対象者】
次の方を対象に生涯で一度の助成が出ており、自己負担2500円で肺炎球菌ワクチンを受けることが出来ます。
65歳(昭和30年4月2日から昭和31年4月1日)
70(昭和25年4月2日から昭和26年4月1日)
75(昭和20年4月2日から昭和21年4月1日)
80(昭和15年4月2日から昭和16年4月1日)
85(昭和10年4月2日から昭和11年4月1日)
90(昭和5年4月2日から昭和6年4月1日)
95(大正14月4月2日から大正15年4月1日)
100(大正9年4月2日から大正10年4月1日)

または60歳から64歳の方で「心臓・じん臓・呼吸器の機能」又は「HIVによる免疫の機能」に障がいを有する方(身体障がい者手帳1級程度)
助成についての手続きなど詳しくは、宇都宮市保健所(電話番号028-626-1114お近くの地区市民センターへお問い合わせください。
 

肺炎球菌ワクチンについては来月号で詳しく解説します。
 
【外をお散歩しよう】
散歩やウォーキングにはさまざまな効果があると言われています。
例えば、体脂肪を燃焼できたり、血行がよくなって冷え性の改善や免疫力の向上にもつながると期待されています。
自然の中で太陽光を浴びながら歩くと、日頃たまりがちなストレスも発散、気分も一新できそうですよね。
 
散歩やウォーキング中にちょっと立ち止まって使える、自然に親しむスマホアプリをご紹介します。

●GreenSnap(グリーンスナップ)
 
植物や花好きが集まるコミュニティアプリで、観葉植物やガーデニングの写真共有が楽しめます。
散歩中、特に役立つのが「教えて!カメラ」という機能です。
歩いているときに気になる植物を見かけたら、GreenSnapのアプリを起動させて植物や花の写真を撮ります。
そうすると次の写真のようにアプリの人工知能がその植物の名前を教えてくれます。





植物の名前を人工知能が教えてくれるほかにも、花言葉が届いたり、撮った植物の写真アルバムが作れる機能があります。

これから紅葉の季節なので、スマホ片手に自然を散策して、いつものウォーキングを楽しくしましょう
 

【ダウンロード】

iPhoneの方はAppStore、iPhone以外の方はGoogle Playから“GreenSnap”と検索してみてください。左のようなアイコンが目印で、無料でダウンロードできます。
 

 
 

2020-10-09 11:47:57

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