コロナウイルス
コロナウイルス第3波の現状 2月号
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
睡眠について連載しており、今月は“体内時計”の予定でしたが、県内でも新型コロナウイルスの感染が増えており、夜の街に広まった第2波とは違い、第3波では感染経路が不明の“身に覚えのない感染”が増えてきています。
ウイルスはもうそこまで来ており、こんな時こそ日頃の感染対策が重要になってきます。
【栃木県の新型コロナウイルスの現状】
栃木県での新型コロナウイルスの発生は右肩あがりに増えており、1月18日現時点では連日の新規感染者数が100人を超えています。

武漢から始まった新型コロナウイルス騒動から1年が経ちました。
マスクの着用に始まり、第1波、第2波、第3波とそれぞれ感染対策を行ってきましたが、最近では“コロナ慣れ”してしまい、初めの頃よりも感染対策が緩くなってしまった現実も見受けられます。
栃木県内の医療現場で実際に起こった出来事と、感染対策の確認を今一度していきたいと思います。
【医療現場でのエピソード】
栃木県内での発熱時に受診が認められている、ある外来では、連日のように駐車場は満車で入れずに、受付にも行列ができており、診察を受けるまで数時間必要とします。
最近の県内で実際にあったお話しです。
50代で特に基礎疾患がない患者さんが、その診療所にやってきました。
受付の時には
顔面蒼白で、“パルスオキシメーター”という指先につけて体の中の酸素を測る機械では、
酸素飽和度75%で
呼吸も苦しそうでした。
※酸素飽和度の正常範囲は95%以上です。喘息の発作のときなど80%に落ち、医療スタッフは少し焦り始める感覚なので70%台はとても苦しいと思います。

(コロナ騒動があってから、もしもの時のために必要性を感じてネットで購入した私物のパルスオキシメーターの写真です。)
すぐに診療所にある酸素ボンベを繋ぎます。
CTでは
両方の肺に肺炎を起こしており、もちろんPCR検査を受けますが、その
結果がでるまでには時間を要します。
その間にも患者さんの容態は悪く、いつ急変してもおかしくない状態です。
設備の整った大きい病院での治療が大至急必要なので、医療スタッフはすぐに救急車を呼んで入院できる搬送先を探します。
保健所を通じて県内の病院を片っ端から連絡をしてあたりますが、どこも満床で受け入れできず、
救急車は出発できずについに半日が経過してしまいます。
さらに困ったことに、診療所の
酸素ボンベはついに底を尽きてしまう一歩手前となってしまいました。
救急隊にそちらの酸素ボンベを繋いでもらえないか伺うと、救急隊の方も酸素ボンベの残量が不足していて残された時間にも限界がありそうでした。
現状ではマスク、消毒に次いで、酸素ボンベも供給不足のようです。
もう一度、県内の病院に患者さんの容体と酸素ボンベが尽きてしまう危機的状況をどうにか伝え、やっと受け入れてもらえる病院が見つかり、夕暮れになる手前で搬送されました。
搬送を終えて、胸をなでおろすのもつかの間、
まだ駐車場に入りきらないほどの患者さんが診察を待っています。
県内でも、発熱患者を対象とした末端の医療現場ではこのような日々で、
さらに、本来であれば隔離が必要であるPCR検査で陽性が出た患者さんが入院できずに1000人ほど自宅待機しており、医療現場はとても逼迫していると言えます。
インフルエンザとも比較されがちなコロナウイルスですが、新型インフルエンザが流行した時には、このような医療崩壊はありませんでした。
自分自身や家族が感染しないためにも今一度、感染対策を見直したいと思います。
【感染対策の見直し】
忘年会、新年会は見送りとなった会社が多くありますが、同じ職場で感染者が出てしまい、ご自身が濃厚接触の対象となってPCR検査を受ける方が多く見受けられます。
“いつも接している決まったメンバー”という安心感から気の緩みがありますが、夜の街に繰り出さなくても、コロナウイルスは近くまで迫ってきています。
職場でできる感染対策を今一度見直したいと思います。
・食事について
飛沫が飛ぶために、
別の空間での食事が推奨されますが、やむを得ずに同じ空間で食事をとるときは、デスクの周りに
ついたてをつける、
マスクなしでの会話は最小限にする、部屋は
換気扇をつけてさらに対角線上に
窓を開けて換気をする。
・接触しあう共有部分について
例えば、ドアノブ、共有の資料、共有パソコン、私物でないボールペン、給湯室など
誰でも触れる可能性のある共有部分は感染の可能性があると判断します。

手で触れた場合は
手洗い、消毒をします。
消毒のしすぎで手が荒れてしまっている方は、保湿する、または皮膚科へ相談しましょう。
・職場の人と同じ車に乗る場合
共有の車である場合は使用の前後にきちんと消毒します。
お互いに
マスクをするのはもちろんのことですが、
外気モードにして、今の時期寒いので暖房の
風量はMAXに増やします。
これで
3分ほど経ったら換気ができるそうなのですが、前後で
窓も少しだけあけましょう。
2人で乗る場合、座る位置は
対角線上がベストです。

・日常生活で欠かせない
スーパーなどの買い出しでは
店舗の入り口には消毒が設置されていることがほとんどです。
お店に入るときの1プッシュは
“ウイルス店内に持ち込まないための消毒”
お店から出るときの1プッシュは
“ウイルスを家庭に持ち帰らないための消毒”です。どちらも忘れずに行いましょう。
みなさんで感染対策を見直して、一日でも早く安心できる日々をすごせますように。
2021-01-25 09:38:19
新型コロナウイルスと熱中症 7月号
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
30度を超える真夏日が続き、マスクをしていると息苦しさや暑さを感じる人も多いのではないでしょうか。
気象庁が発表した予報によると、今年の夏は平年よりも暑くなる見込みです。
さて、まだまだ感染者が出ている新型コロナウイルスですが、感染拡大を防ぐために
「新しい生活様式」が専門家より示されました。
①身体的距離の確保
②マスクの着用
③手洗いや、「3密(密集、密接、密閉)」を避ける
など、これまで皆さんが行ってきた感染対策を継続するような生活様式の実践が求められています。
一方で、猛暑が続く季節になりは熱中症による死者は増加しています。
2019年の栃木県内での熱中症救急搬送患者が1200人、死亡者は20人ほどでした。
ちなみに6月17日現在の栃木県内での新型コロナウイルスの感染者数は66人、死亡者は幸いにも0人です。
熱中症はコロナと違い感染するものではありませんが、注意を怠ると命にかかわるような危険な状態になります。
マスクの着用も求められる「新しい生活様式」で過ごす中で、どのように熱中症に注意したらよいか環境省が公表したものをまとめました。
●マスクは適宜はずす
マスクは飛沫の拡散予防に有効で、
「新しい生活様式」でも一人ひとりの方の基本的な感染対策として着用が求められています。
しかし、マスクを着用していない場合と比べると、
心拍数や呼吸数、血中二酸化炭素濃度、体感温度が上昇するなど、身体に負担がかかることがRobergeらの実験より示されています。
したがって、
高温や多湿といった環境下でのマスク着用は、熱中症のリスクが高くなるおそれがあるので、部屋に1人でいるときや屋外で人と十分に離れている場合には、マスクを外すようにしましょう。

マスクを着用する場合には、強い負荷の作業や運動は避けましょう。
周囲の人との距離を十分にとれる場所では、マスクを一時的にはずして休憩することも必要です。
●エアコン使用時も換気をしましょう
熱中症予防のためにはエアコンの活用が有効です。
しかし、
一般的な家庭用エアコンは、空気を循環させるだけで換気を行っていません。
新型コロナウイルス対策のためには、
冷房時でも窓開放や換気扇によって換気を行う必要があります。換気により室内温度が高くなりがちなので、
エアコンの温度設定を下げるなどの調整をしましょう。
対角線上の窓を2か所あけることが理想的ですが、窓が1か所しかない場合は扇風機を窓の方に向けて部屋の空気を外に出すようなイメージで換気します。
●体調がおかしいと思ったら涼しい場所に移動しましょう
少しでも体調に異変を感じたら、速やかに涼しい場所に移動することが、熱中症予防に有効です。
一方で、人数制限等により屋内の店舗等にすぐに入ることができない場合もあると思います。その際は、屋外でも
日陰や風通しの良い場所に移動して涼んでください。
●日頃の健康管理について
「新しい生活様式」では、毎日の体温測定、健康チェックをお願いしています。
ご自身の平熱を知っておくことで、「何かおかしい」と思ったときに発熱に早く気づくことができるので、これらは熱中症予防にも有効です。
また、体調が悪いと感じた時は、無理せず自宅で静養するようにしましょう。
【今年は特に熱中症リスクが高い?】
とくに高齢者は熱中症が重症化するリスクが高いとされています。
厚労省によると、2018年は記録的な猛暑により、全国で1581人が熱中症で亡くなっていますが、そのうち
約8割は高齢者でした。
今年は
コロナ渦より、多くの方が“巣ごもり”生活を送ってきましたね。
「家から出なければ熱中症にならないのでは?」と思うかもしれませんが、
高齢者の熱中症は屋内で起こることがほとんどです。

人間の体は、日光を浴びるなどしながら暑さに慣れていき、夏本番を迎えるまでに徐々に自律神経の働きを整えていきます。
その過程で汗をかきやすくなったり、体の熱が逃げやすくなったりして、熱中症に耐えられるような体作りをしていくのです(暑熱順化)。
ところが今年は、外出自粛に伴って巣ごもりしているために、
暑熱順化が充分に進んでおらずに、急激な気温の上昇に体がついていけないことが懸念されています。
そのため、例年よりも熱中症を引き起こすリスクが高いと予想されています。
涼しい時間帯に有酸素運動をして、汗をかいて暑さに耐えられる体作りをしましょう。
【マスク着用のかくれ脱水に注意】
飛沫拡散防止のためにつけているマスクですが、暑い中ずっとつけていると息苦しく感じたりしますよね。
本来、人間は皮膚や口からたまった熱を外に出していますが、マスクをずっとつけていると、口から熱を出しにくくなります。
それだけでなく、
マスクをしていると口の中は湿っぽくなり、喉が渇いたことに気づきにくくなります。
さらに、
マスクをつけていることで十分な水分補給ができずに、脱水症状を引き起こしやすくなります。
気づかないうちに
“かくれ脱水”を引き起こしてしまうことになりかねないので、
自宅では適時マスクを外して、喉が渇いてなくても水分補給を心がけましょう。
厚労省によると、
食事以外に1日1.2リットルの水分摂取が目安といわれています。
【汗をかいたときに自家製レモン水】
汗をかくほど動いたときに、失われた塩分や糖分とともに水分補給できるレモン水のレシピを紹介します。
注意!
血圧の高い方や塩分の気になる方はコップのフチにつける塩を少なくしましょう。
糖尿病の方は、はちみつ(砂糖)の量を少なくしましょう。
普段の水分摂取はお水かお茶がおすすめです。
たくさん汗をかくほど動いたときには自家製レモン水で水分補給しましょう。
2020-06-26 11:22:51
コロナウイルス③ ~外に出て運動しよう~
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
栃木県では緊急事態宣言が解除されて、デパートのや学校が始まり、少しずつ活動範囲が広がってきました。
しかし、新型コロナウイルスはまだ終息していないので、活動が広がることでの感染リスクや第二波の流行が懸念されたり、まだまだ感染予防は必要な状態です。
また、宇都宮市では新型コロナウイルス感染の検査体制を拡充するため、宇都宮市保健所内に「市PCR検査センター」が設置されました。
市内の別の場所に検体採取場を設け、ドライブスルー方式で検査が行われます。
医療機関から検査が必要と判断された症状の軽い人が対象となり完全予約制で行われるそうです。疑わしい症状のある方は、引き続き相談窓口に電話をお願いします。
症状が重い人は、これまで通り、帰国者・接触者相談センターで対応されます。
検査件数が一日最大12件と限りはありますが、大きな第一歩を踏み出せました。
【密にならずに、屋外で散歩をしよう】
屋内で過ごすことが多くなった方に不足しがちなのが、ビタミンDです。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助けて、骨を強くする働きがあります。
卵や魚にも含まれますが、1日20分程度、日光に当たることで体内で作ることが出来ます。
蜜を避けて、感染対策、水分補給を行って、お散歩やウォーキングなど外に出る習慣を作りましょう。
また、ビタミンDは幸せホルモンとも呼ばれ、セロトニンの生成を助ける働きがあります。
セロトニンが不足すると、精神が不安定で気分が落ち込んだり、不眠に悩むような「うつ状態」の原因になります。
自粛が続き「コロナうつ」と呼ばれる方が増えているように見受けられるので、気分転換に屋外に出てみましょう。

【筋力を保つゆるスクワット】
コロナウイルスで外出自粛の生活が増え、意識しないうちに筋力が衰えている方も多いのではないでしょうか。
私自身も、1日中家にいる日の万歩計はなんと1000歩未満、久しぶりにキャッチボールしただけで筋肉痛になり無意識のうちに筋肉が落ちていることを痛感しました。
今月の運動は2018年に出版された「ゆるスクワットの教科書」より1日3分、頑張りすぎずに続ける「ゆるスクワット」を紹介したいと思います。
以下、ゆるスクワットより引用しています。
ゆるスクワットは、筋肉を刺激することで筋肉量を維持・増大させて全身の筋肉の衰えを阻止し、基礎代謝の維持・向上をはかることができます。
【椅子を使う安全&簡単、基本のゆるスクワット】
基本のゆるスクワットは、椅子に座ったり立ったりする動作で高齢者の方でも簡単にできますが、その動きをスローペースで行うことで、20代の方でも立派な筋トレになります。
- 椅子に腰かけて手は肩幅、足は肩幅より少し広く開き、視線はまっすっぐ前を意識します。
- ゆっくりと息を吐きながら椅子から立ち上がります。
- ゆ っくりと息を吸いながら椅子に腰を下ろします。
- 10秒数えながら一つの動作を行い、3分間繰り返します。
・効果
太ももの前側にある大腿四頭筋、後ろ側のハムストリング、お尻の筋肉の大殿筋、ふくらはぎ周辺などの筋力や柔軟性が向上します。
また、股関節やひざ関節にかかる負担も軽減します。
【
腰痛持ちの人でもできる「プリエスクワット」】
プリエスクワットは歯磨きやドライヤーをしながらでも行えます。
上半身を前傾させずに行うので腰への負担が少なく、腰痛がある方でも行うことが出来ます。
- 足を肩幅よりも大きく開き、つま先を外側に向けます。かかとに重心をかけます。
- ゆっくりと息を吸って10秒数えながらまっすぐ上半身を下ろすように意識してしゃがみます。この時に腹筋も意識します。
- ゆっくりと息を吐いて10秒数えながら元の体勢に戻ります。
- 一連の動作を3分間繰り返します。余裕のある方はしゃがんだ姿勢をキープします。
・効果
内ももの内転筋や骨盤底筋にも刺激が伝わり、尿もれも予防できます。お尻の筋肉である大殿筋、中殿筋が刺激されてお尻全体を引き締めます。
お腹を意識することで腹筋も鍛えられます。
【
ひざが痛い人は「アイソメトリック」ゆるスクワット】
アイソメトリックゆるスクワットは、膝を無理のない位置まで曲げてキープすることで
負担を軽減します。ひざに痛みがある方でも行うことが出来ます。

①まっすぐに立ち、両手を前に伸ばします。
②膝が前に出ないように、腰を後ろに下ろしていきます。
③無理のないところでストップ。この姿勢を10~30秒キープします。
④ゆっくりと元な姿勢に戻ります。この動作を3分間繰り返します。
・効果
関節を動かさなくても筋肉には力が入るので、太ももやお尻の筋肉の柔軟性が高まります。
●定期的に通院が必要な皆様へ
病院では、消毒の設置、スタッフのマスク着用、窓を開けて換気、換気扇をつけっぱなし、アクリルパネルの設置、定期的な消毒、発熱している患者さんには院内に入る前に電話連絡を勧告し専門機関の紹介を行うなどの感染対策をしています。
みなさん、屋外でも屋内でも体を動かして、病気に負けない体力をつけましょう♡
2020-05-25 12:18:04
新型コロナウイルスを食事で予防
管理栄養士 穴澤絵美
日々新型コロナウイルスが猛威を振るい、おさまる気配がありません。私たちスタッフも日々手洗いうがいはもちろん、院内の消毒を行い室内換気も心がけておりますが、やはり100%安心はできない状況です。
そのような中、日本栄養士会から新型コロナウイルスに対して発言がありましたのでその内容を踏まえて今後ご自身でできる対策をお伝えしたいと思います。
一般的な症状と重篤化のリスク
現在報告されている新型コロナウイルスに感染した場合の症状ですが、発熱や呼吸器症状といった風邪のような症状が1週間くらい続き、強いだるさを訴える方が増えてきているそうです。(厚生労働省発表:3/28時点)
風邪が一般的に2-3日で治るのに対し、新型コロナウイルスの場合、潜伏期間が長く、上記のような症状が4-5日続きます。一部の患者さんでは味覚障害を起こす事も報告されています。
重篤化すると1週間後には肺炎を起こし、最悪の場合命を落としてしまうこともありますので、特に高齢者や一人暮らしの方は気を付ける必要があります。
肺炎のリスクと栄養状態
ヒトには本来、あらゆる病原菌に対して感染防御能があります。感染後生死を分けるのは十分な抗体ができるまでの期間の肺炎・高熱に耐える感染防御能です。そしてこの感染防御能を働かせるために大事なのは栄養です。
栄養状態を知る為に、血清アルブミン値がひとつの指標として用いられています。
今回この血清アルブミン値と肺炎の関係について興味深い資料を見つけたのでご紹介します。
※BMI(ボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。)
栄養科学研究所長 香川靖雄氏引用
体温は1℃上昇すると13%代謝が増加するため、発熱が起きるとエネルギー消費量が増えます。そのため、
肺炎の場合痩せた人よりも十分なエネルギーを蓄えた肥満者の死亡率のほうが低い傾向にあります。
一方で高齢者は食後に起こる筋たんぱく質合成が成人と比較して低いと報告があります。
それは高齢者ではたんぱく質の素となるアミノ酸が、筋肉に供給されたとしても筋肉になる量が成人に比べて少ないことを意味します。そのため、
高齢者は成人以上に食事からたんぱく質をとる必要があるのです。
アミノ酸の中でも特に
ロイシンは強い体たんぱく質同化作用が存在することが知られています。
ロイシンは
魚や肉などの動物性たんぱく質、チーズやヨーグルトなど乳製品に多く含まれていますのでこれらを食事の中に積極的に取り入れていきたいですね。
食事療法によって新型コロナウイルスに対する体の免疫を強くできますか?
答えは
いいえです。
残念ながら特定の食品やサプリメントをとることで新型コロナウイルスに対する免疫システムを強化する事はできないようです。
感染を回避するための最良の手段は依然として適切な衛生習慣でありウイルスに感染しない行動をとる事です。
しかしながら先にお話ししたたんぱく質に加え、下記に示す栄養素や関連物質は免疫システムが正常に機能するために関与している事が分かっています。
① 摂取エネルギー
痩せても肥満でも感染リスクは上がります。
主食、主菜、副菜のそろった食事を3食こころがけましょう。

② たんぱく質
エネルギー同様、たんぱく質の不足は免疫機能の低下を招きます。
肉、魚、卵、大豆製品、乳製品をまんべんなくとれると理想です。

③ n-3系脂肪酸
炎症や血栓を予防するなど動脈硬化を抑制します。
n-3系脂肪酸はα-リノレン酸、EPA、DHAがあります。
α-リノレン酸は亜麻仁油やなたね油に、EPA・DHAはサバやイワシなどの青身魚に多く含まれています。
④ 食物繊維
腸内で善玉菌の餌となり、善玉菌を増やして免疫力を高めます。
汁物や副菜で上手にとり入れましょう。

⑤ ビタミン類(A、D、E、B群、C)
各種のビタミンは体の代謝に営む補酵素として働く事から、これらが不足すると免疫能を担う細胞の機能低下を招きます。
野菜や果物、ナッツ、穀類や豚肉など様々なものにビタミンは含まれています。

⑥ ミネラル(鉄、亜鉛、銅、セレン)
ミネラルの欠乏は胸腺の形成不全や抗体となる免疫ブログリンのレベルを低下させます。
鉄はホウレンソウやレバー、亜鉛はあさり等貝類に豊富です。
以上の内容を踏まえると、新型コロナウイルスに対して食事面でできる事は、色々な食材をまんべんなく食べ、ウイルスと戦ってくれる免疫力を維持する事です。
万が一発症してしまった場合、激しい呼吸器障害をきたす恐れがあります。そのため呼吸を助ける筋肉の機能を高めておく必要があります。筋肉の機能を高めるに、たんぱく質を中心とした上記に上げるビタミン類、ミネラルなど種々の栄養素の補給が必要になるのです。
食品から新型コロナウイルスに感染する事はありますか?
答えは
いいえです。
現在そのような報告はありません。しかし、食品の衛生管理には気を付けて下さい。
一般的には飛沫感染、接触感染で感染しますので、調理中や食事中、咳やくしゃみなどと一緒にウイルスが放出され、万が一食品に付着した場合は感染のリスクが考えられます。
特別に食品を購入しておく必要はありますか?
答えは
いいえです。
現在も一部スーパーやドラッグストアなどから、保存のきくパスタやインスタント食品などが消える出来事が起こっています。
外出が自粛されても生活に必要な物資を購入するために店に行くことは可能です。むしろ食料不足は買いだめによって引き起こされていますので、皆さんが落ち着いて普段通りの生活、お買い物をすれば問題ありません。
~ちょっとした工夫で上手に食材管理を~
※ 生鮮食品はできる限り使いきって下さい。
※ サラダのような生食する新鮮な野菜はしっかり洗い→すすぎ→水切り。その後適切なプラスチック製の保存容器に入れて蓋をして保存します。この手順で行う事で蓋をしていない状態で冷蔵庫に保管した状態よりもさらに数日間新鮮な状態が保たれますよ。プラスチック容器の無い方は器にサランラップをかける方法でもよいです。
※ 万が一沢山買いすぎてしまい、腐らせてしまいそうと思うものは早めに冷凍してしまうのも一つの方法です。
私の例をお話しますと、私はお買い物に行く日を週2日と決めていますので、ほうれん草やインゲン等、すぐに使いきれなと思ったものは軽く湯がき冷凍しています。主菜となるもの、特に魚介類は劣化しやすいため、購入してから翌日までには食します。
肉類も食べることが遅くなりそうだと判断したものは早めに下味等付け冷凍しています。
※ 一度冷蔵庫の中を確認しましょう。賞味期限切れのものはありませんか?
芋類や皮のついた玉ねぎなどは冷蔵庫でなくても涼しいところで保存が可能です。
そうする事で冷蔵庫のスペースが空き、より傷みやすいものが多く収納できます。
※ 在宅で普段より時間のある方は古くなっていたり今後も使用しない食品は思い切って処分し、キッチンの戸棚を整理してみてはいかがでしょうか。
外出の制限で気分が塞いだら料理に挑戦して気分転換するのも良いでしょう。すでにご自宅で普段あまり作らないパン作りに挑戦しているという方もいます。また、料理を作る気力のない場合は、缶詰のスープ、電子レンジで炊けるご飯、冷凍食品等を活用し上手に楽をして下さいね。
新型コロナウイルス感染が拡大する初期の段階には高齢者や糖尿病、高血圧、呼吸器疾患、心臓病の患者さんたちに多発しました。これらの人たちは高齢や病気の影響により免疫機能が低下している事が考えられますが、高齢者によるフレイルや病気の食事療法による栄養素の制限などによる低栄養が二次的に免疫能を低下させている事も考えられます。
少しでもご自身の栄養状態に不安のある方は、お気軽に管理栄養士にご相談下さい。
2020-04-30 17:07:00
新型コロナウイルス
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
日本でも患者さんの数が勢いよく増えて、マスクや除菌シートの売り切れが続いており、パンデミックになっている新型コロナウイルスですが、病状の経過が分かってきましたので記載したいと思います。
【コロナウイルス】
もともと存在する“コロナウイルス”は、発熱や上気道炎を起こすウイルスで、人に感染するものは6種類あります。
2002年に中国で流行ったSARS、2012年に中東で流行ったMERSなどの重症化しやすいウイルスと、残りの4つはいわゆる“普通の風邪”の原因のひとつとされるウイルスで、ほとんどの人は6歳までに感染し軽症に経過します。
今回の新型コロナウイルスは過去に人で感染が確認されなかった新種のコロナウイルスです。

ウイルスはその構造から
エンベロープ(脂質性の膜)のあるウイルスと、エンベロープのないウイルスに分けられますが、エンベロープのあるウイルスは、
アルコール消毒剤によりダメージを受けやすいです。
流行しているコロナウイルス、インフルエンザウイルスもアルコールに弱いのでお店で見つけたらぜひ確保しておきましょう。
【新型コロナウイルスの症状は2パターン】
新型コロナウイルス(COVID-19)に感染したときの臨床像は、2つのパターンに分けられます。

(高山義浩医師より引用)
まず、風邪のような症状が1週間ぐらい続いてからそのまま軽快するというものです。
大半がこのような経過をたどります。
新型コロナウイルスといっても重めに発症するわけではなく、普通の風邪のような症状が少し長引くようなイメージです。
一部の患者さんでは風邪症状が1週間ぐらい続いて、そのあとに倦怠感と息苦しさが出てくるものがあります。
浮腫や下痢が重なる人もいるようです。
このような経過は、
高齢者や持病のある方が多くいますが、まれに健康な若い人にもみられます。子どもでは重症化することは極めて稀とされています。
感染してから発症するまでの潜伏期間は5日(1~12日)程度で、入院を要するほどに重症化するのは、さらに10日(9~13日)経ったころだといわれています。
感染力が強いのは、発症から3、4日目ぐらいだと考えられていますが、重症化すると感染力も維持されます。
【世代別に臨床経過が違う?】
世代別の疫学報告はありませんが、若者と高齢者で臨床経過が異なるので、
重症化率と致命率についても世代別に考えた方がよいと思います。
臨床医の経験では、若者の重症化率と致命率は、ほぼいないそうです。
一方で、感染した高齢者の1割ぐらいは重症化して、1%ぐらいが死亡すると考えられています。
糖尿病などの持病のある方要介護高齢者や入院患者では、さらにリスクが高まります。
【高齢者や基礎疾患のある人の感染を防ぐ】
もう日本にも新型コロナウイルスの感染がみられるため、重症化しやすい高齢者や基礎疾患のあるハイリスク群の人は特に感染予防を心がけましょう。
(基礎疾患のある人とは、糖尿病や高血圧、腎臓病など慢性疾患があって、通院している人です)
ハイリスク者がいる家庭では、ウイルスを外から持ち込まないように、玄関先にアルコールを置いて帰宅時の手指消毒を徹底しましょう。
もし、同居する家族が風邪をひいたら、ハイリスク者と接触しないように症状が治まるまで家庭内で隔離した方が良いでしょう。
【新型コロナウイルスかどうかの確認で受診は避ける】
心配になり新型コロナかどうかを確認するために、受診することは望ましくありません。
インフルエンザのような簡易検査キットがまだ開発されていないために
一般の病院では確定診断できずにいます。
下記のような症状が続く人は、
医療機関を受診するのではなく、帰国者・接触者相談センターに電話で相談します。そのうえで、相談センターは、必要に応じて
専用の外来への受診を調整します。
帰国者・接触者相談センターに相談する目安としては、
・かぜの症状や37度5分以上の発熱が4日以上続いている人や、解熱剤を飲み続けなければならない人、
・強いだるさや息苦しさがある人としています。
さらに、高齢者、糖尿病・心不全・呼吸器疾患の持病がある人や透析を受けている人、免疫抑制剤や抗がん剤などの投与を受けている人、妊婦も念のため感染すると重症化しやすいため、こうした状態が2日程度続く場合も相談の電話をお願いします。
次に連絡先を載せています。
新型コロナウイルス感染症の感染が疑われる方(以下の①②③のいずれかに該当する方)は、医療機関の受診の前に、お住まい又は施設等を管轄する広域健康福祉センター及び保健所等の相談窓口に御相談ください。
新型コロナウイルス感染症の感染が疑われる方
①発症から2週間以内に中国湖北省又は浙江省に渡航又は居住していた方で、発熱と呼吸器症状がある方
②発症から2週間以内に中国湖北省又は浙江省に渡航又は居住していた方と濃厚接触された方で、発熱と呼吸器症状のある方
③新型コロナウイルス感染症と確定診断を受けた患者と濃厚接触された方で、発熱や呼吸器症状
のある方
【相談窓口の連絡先】
・
宇都宮市在住の方
宇都宮市保健所 〒321-0974 宇都宮市竹林町972
平日 午前8時30分~午後5時15分の連絡は
TEL 028-626-1114
夜間・休日の連絡は TEL 028-626-1102
・大田原市、那須塩原市、矢板市、さくら市、那須烏山市、那須町、塩谷町、高根沢町、那珂川町の方
県北健康福祉センター 〒324-0057 大田原市住吉町2-14-9
平日 午前8時30分~午後5時15分
TEL 0287-22-2679
夜間・休日 TEL 0287-22-2679
・鹿沼、日光市在住の方
県西健康福祉センター
〒322-0068 鹿沼市今宮町1664-1
平日 午前8時30分~午後5時15分
TEL 0289-62-6225
夜間・休日 TEL 0289-64-3125
・真岡市、益子町、茂木町、市貝町、芳賀町在住の方
県東健康福祉センター 〒321-4305 真岡市荒町116-1
平日 午前8時30分~午後5時15分 TEL 0285-82-6997
夜間・休日 TEL 0285-82-6997
2020-02-21 10:02:36