〒321-0904
栃木県宇都宮市陽東4-1-2

028-664-3800

トップページ医院紹介スタッフ紹介診療案内交通案内初診の方へ
 

猪岡内科コラム

栃木県,宇都宮市,糖尿病,食事指導,管理栄養士 【猪岡内科】

猪岡内科コラム

求人案内

トップページ»  猪岡内科コラム»  糖尿病の薬

糖尿病の薬

  • 件 (全件)
  • 1

SGLT2阻害薬の最新情報~値段と副作用~

SGLT2阻害薬の最新情報~腎保護効果~③

猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
 
SGLT2阻害薬のまとめ③です。
作用機序など載せていきましたが、今回は“SGLT2阻害薬と低酸素”、値段のことや副作用についてまとめました。
難しい話を除きたい方は2枚目からご覧ください。
 
【低酸素とSGLT2阻害薬】
下の写真では右と左の腎臓の色を比較していますが、右の腎臓は寒色系の色が多く、これは低酸素を表しています。



腎臓病が進みやすい人は腎臓が低酸素になっていることが分かりました。
その理由として、糖を再吸収するときにはエネルギーが使われますが、そのエネルギーを作る時に酸素が使われます。糖尿病の過労な腎臓では多くのエネルギーと酸素が必要なため、酸欠になっているのではないかという仮説があります。
そして、腎臓が低酸素になると腎症の進行が悪化しやすいという悪循環に陥ります。
現在、SGLT2阻害薬を用いた動物実験では腎臓の低酸素が改善した報告があります。
 
その理由は上にも書きましたが、SGLT2阻害薬には次のようなことが期待されています。
・尿細管でエネルギーを使う“糖の再吸収”を抑制すること。
・体ではエネルギー効率のいいケトン体が多く使われること。
 
人間でも腎臓の低酸素を改善して腎症の悪化を防ぐことが見据えられています。

次は良いことばかりでない、副作用と値段のこともきちんと知っておきましょう。
 
 
 
【値段】
新薬ということもあり値段が気になる方も多いと思いますので、SGLT2阻害薬と
糖尿病薬でよく使われるDPP-4阻害薬とメトホルミンの比較をしたいと思います。
 
・SGLT2阻害薬

薬剤名
 
薬価(1錠)
 
3割負担
 
1割負担
 
ジャディアンス10㎎
 
198.7円
 
59.6円
 
19.9円
 
カナグル100㎎
 
190.5円
 
57.2円
 
19.5円
 
SGLT2阻害薬はすべて1日1錠内服する。
 
・DPP-4阻害薬
薬剤名
 
薬価(1錠)
 
3割負担
 
1割負担
 
エクア50㎎
朝・夕で内服
 
75.3円
朝夕で150.6円
 
45.2円
 
15.1円
 
ネシーナ25㎎
 
167.3円
 
50.2円
 
16.7円
 
トラゼンタ5㎎
 
155.4円
 
46.6円
 
15.5円
 
エクア以外は1日1回内服する。
 
・SGLT2阻害薬+DPP-4阻害薬配合剤
薬剤名
 
薬価(1錠)
 
3割負担
 
1割負担
 
トラディアンス
(トラゼンタ5㎎+ジャディアンス10㎎の配合剤)
 
283.3円
 
84.5円
 
28.3円
 
・上の表にあるSGLT2阻害薬とDPP-4阻害薬の配合剤です。
2剤を合計すると354円なのでDPP-4阻害薬も併せて飲んでいる方は、トラディアンス配合剤の方が2割くらいお得な計算です。
 
・メトフォルミン
薬剤名
 
薬価(1錠)
 
3割負担
 
1割負担
 
メトグルコ250㎎
通常1500㎎
 
9.9円
×6=59.4円
 
17.8円
 
5.9円
 
メトグルコ500㎎
通常1500㎎
 
15.4円
×3=46.2円
 
13.9円
 
4.6円
 
・メトグルコは通常1500㎎で内服します。当院では高齢でない、腎機能が悪くないなど「適応のある人」に最初に使うのを考えます。お腹の副作用が出なければ安くていい薬です
・1カ月の平均負担額
薬剤名
 
3割負担
 
1割負担
 
SGLT2阻害薬
 
1752円
 
584円
 
DPP-4阻害薬
 
1362円
 
454円
 
SGLT2阻害薬+ DPP-4阻害薬配合剤
 
2535円
 
849円
 
メトホルミン
 
475.5円
 
158.5円
 
薬価を中心に言うと、メトホルミンを内服して副作用なければとてもいい薬です
薬剤は値段以外に患者さんの年齢や腎機能、肝機能、治療のステップ、飲み合わせを考えて医師が患者様にあったものを選択します。
例えばインスリン抵抗性のありそうな2型糖尿病の方は最初にメトフォルミンを候補にします。食後の高血糖が目立つやせ型の方にはDPP-4阻害薬を候補にします。
腎臓の保護が必要な人や肥満の人は治療のステップでSGLT2阻害薬を考えます。
食生活の改善や運動をふやしてもなお、血糖値が悪化する場合は他の薬と併用していきます。
血糖値が悪くならないように食生活と運動を見直していくことが一番の節約ですね。



そして余談ですが、患者様から頂いた薬価分のお金はすべて病院から製薬会社へと支払われます。
そのため、病院は高い薬を売ると儲かる仕組みではなく、たくさんの患者様を診察した“診察料“でなり立っています。
SGLT2阻害薬は新薬なので高価ですが、今回の学会で腎臓を保護していることや体重が減ることなど“お値段以上”といえる効果があったのでこれを患者様に知ってもらうために、この記事をまとめました。
 
【SGLT2阻害薬の副作用】
・脱水について
糖が排泄されるときに、より多くの水分が尿として出ていくため、脱水に注意が必要です。
その分、糖分の入っていない水やお茶を多めに水分をとることが大切です。
下痢や嘔吐をくり返したり、食欲不振で食事や水分が取れないことが続くときは、医師に相談しお薬をいったん中止します。
高齢の方・お薬の飲み始めの時期・夏場は特に意識して水分補給をお願いします
特に高齢者で利尿剤(例えば:ラシックス・ナトリックス)を飲んでいる方は注意が必要なので、他院でもらっている薬があれば必ずお薬手帳を見せてください。

・尿路感染症・性器感染症について
特に女性で膀胱炎などの尿路感染症、陰部のかゆみや炎症などの性器感染症が起こる可能性があります。体を清潔に保ち、尿や体に異常を感じたらすぐ医師に相談してください。
 
・低血糖
SGLT2阻害薬のみで低血糖はおきにくい薬ですが、インスリンや他の薬剤との併用で低血糖が起こる可能性があります。低血糖の症状が見られたら、糖分の入っている飴、ジュースを飲んで症状が治まるまで休んでください。
 
・体重が減ります。
これは、副作用というか作用を期待して内服することが多いですが、余ったエネルギーを外に出すので、おおむね1-2㎏体重が減るといわれています。
「やせる薬を飲んでるから」といって、たくさん食べてしまっては意味がありません。
食事・運動・お薬とバランス良く治療していくことが大切です。
 
・発疹、吐き気、嘔吐、腹痛、異常な口の渇き、体の疲労感、呼吸困難などの症状がみられる場合はすぐ医師に相談してください。
 
・食事がとれないほどの風邪や高熱で寝込んでいるとき、下痢や嘔吐をくり返しているときなど“シックデイ”の時には一度薬を中断します。このような病気の時には医師に相談してください。
 

2019-07-23 19:38:24

SGLT2阻害薬の最新情報~腎保護効果~②

 

SGLT2阻害薬の最新情報~腎保護効果~②

 

猪岡内科

糖尿病療養指導士 中村郁恵

前回に続き

欧米の学会で発表された最新の糖尿病薬“SGLT2阻害薬”の研究結果では、

薬の作用で糖尿病患者さんの腎機能をみる指標である“eGFRの低下”が改善したという腎臓にとって良い結果でした。

 

この効果は単純なものではなく、たくさんの仕組みが連なって良い結果となっています。

今回は、少しディープな生化学のお話しになりますが、

現在解明されている“SGLT2阻害薬への期待”とその仕組みの一部を紹介します。

 

・今回はケトンの話

SGLT2阻害薬とケトン体】

SGLT2阻害薬で糖分が尿に捨てられると、体はブドウ糖不足を感じます。エネルギーを確保しようと肝臓ではケトンがたくさん作られます。

このときに脂肪肝などの本来であれば脂肪がつくべきでない“異所性脂肪”などからもケトンがつくられます。

 

【エネルギーの話】

人間の身体は、体温を保ったり、筋肉を動かしたり、休んでいるときでもエネルギー(ATP)を消費して生きています。

そのエネルギー(ATP)は、食事からとったブドウ糖、次いで体に蓄えられている脂肪酸、筋肉に含まれるたんぱく質からつくられます。

このエネルギー効率について考えてみます。

 

【エネルギーの効率】

身体の細胞の中のミトコンドリアではブドウ糖や脂肪酸からエネルギーのATPが作られます。

この時に酸素を消費して作られますが、脂肪酸とブドウ糖では使う酸素の量が異なり、

酸素1分子あたりにつき脂肪酸(2.33分子)よりもブドウ糖(2.58分子)のほうが多く効率的に作られます。

しかし、糖尿病でインスリン抵抗性が高い状態では体でブドウ糖が充分に利用できずに、エネルギー効率の悪い脂肪酸が多く使われています
 



そこで、第三のエネルギーとしてケトン体が登場します。

 

【ケトン体とは】

ケトン体は糖質が足らないときに体のエネルギー源になる物質です。

体は糖分不足を感じると「糖エネルギーをメインに使う」から、「脂肪酸エネルギーを使う」システムにシフトし、体内の中性脂肪を分解してエネルギーをつくり出します。

 

脂肪酸エネルギーでは、脂肪細胞で中性脂肪が分解されて血液に入り、全身を巡りながらエネルギーとして使用されます。

その中で肝臓に流れ着いたものは、他の臓器でもエネルギーとして使えるように脂肪酸が分解されて一部がケトン体になります。これがケトン体エネルギーです。

 

特にケトン体をどんどん消費するのが脳の神経細胞、心臓、腎臓です

脳に行くときには血液脳関門という通り道があり、脂肪酸はそこを通れないため、糖質がなくなったらケトンが脳のエネルギー源になります。

そのほか、ケトン体は水に溶けやすい水溶性なので、特別なたんぱく質の助けがなくても心臓や筋肉や腎臓などに効率よく運ばれます。

 

このように脂質と比べて脳のエネルギーにもなり、心臓や腎臓でも使われやすいため、糖に代わる万能なエネルギーとして重宝されています。

 

【ケトン体の効率の良さ】

ケトン体は酸素1分子から2.50分子のATPをつくり出すことができ、脂肪酸(2.33分子)よりも効率が良いとされています。

そして、炭素2単位からケトン体では243.6kcalを得ることができるのに対し、同じ炭素2単位からブドウ糖では223.6kcalしか得られないので、ブドウ糖よりも代謝上有利とされています。S,Mudaliarらの文献より)

つまり理論上、ケトン体は脂肪酸やブドウ糖よりも酸素・炭素の消費が少なく、効率の良いエネルギーとして使われます。

 

さきほど書いた“理論上効率のいいエネルギー”とされているケトン体が多く使われることで、体は酸素を節約できます。

SGLT2阻害薬の酸素の節約”ということではもう一つ。

前回の復習になりますが“SGLT2阻害薬の最新情報①“で書いたように

尿細管で糖とNaClを“再吸収”するときに働いているポンプはエネルギー(ATP)を使って稼働しています。

SGLT2阻害薬はその“再吸収”を抑えるので、エネルギーや酸素消費の節約につながります。

このようにSGLT2阻害薬は血糖値を下げるだけでなく、エネルギーの節約(酸素の節約も)をしていますが

“酸素”に観点を当てた研究があります。

 

次回は知っておきたい、SGLT2阻害薬の値段と副作用を書きますので、その時に一緒に載せます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019-05-21 11:30:39

SGLT2阻害薬の最新情報~腎保護効果~①

SGLT2阻害薬の最新情報~腎保護効果~①

猪岡内科

糖尿病療養指導士 中村郁恵

 

まだ青森は雪が降り積もっている3月の初めに、糖尿病の進歩という学会に参加してきました。

そこで聞いた新しい話をまとめていきたいと思います。

 

【糖尿病治療薬の優先順位が変わった!】

2018年、アメリカや欧州の糖尿病学会で薬のアルゴリズムが改訂されました。

いままでは、7種類ある糖尿病治療薬の中でメトホルミン(商品名:メトグルコ)が第一選択薬で、第二選択としては、他の薬剤が並列に並んで、低血糖・体重・費用をもとに患者さんごとに選ぶような仕組みでした。

 

今回の改訂では、メトホルミン(商品名:メトグルコ)が第一選択薬というのは変わりありませんが、第二選択薬のところで大きく変わりました。

腎臓病や心疾患のリスクがある方、体重減量が必要な患者さんには優先してSGLT2阻害薬(次いでGLP1製剤→注射薬です)を選ぶように変わりました。

いままで並列だった第二選択薬ですが、SGLT2阻害薬(次いでGLP1製剤)が群を抜いて急浮上しているのは、心疾患や腎臓に対する有効性が証明されているからです。

今回は学会で聞いたSGLT2阻害薬の話を書きますが、最初にSGLT2阻害薬が作用する腎臓の仕組みについて書きたいと思います。

 

【腎臓の働き】

腎臓は血液が運んできた体の老化物をろ過して尿として外に排泄します。

ろ過を行う腎臓の糸球体は網戸のようになっており、タンパク質や血球などの大きいものはその網目を通ることが出来ません。

水や糖分、電解質(ミネラル)、老廃物は糸球体の網戸を一度くぐり尿のもととなりますが、体に必要な成分はあとで“再吸収”されます。

 

再吸収とは、1度捨てたけれども体に必要なので取り戻すようなイメージです。

それは腎臓のネフロンで行われており、労力=エネルギーが必要とされています。

 

【糖尿病の腎臓は過労気味!?】

前述のとおり、尿を作る過程で糖分も老廃物とともに血液から尿細管に流れ込みます。

しかし、糖はエネルギーのもとになるため体に必要な成分です。

糖尿病の方は“血糖値が高い”と言われているように血液中や尿細管にも糖分が多く含まれます。

そのため、糖尿病でない人と比べてたくさんの糖を再吸収しようとし“糖の再吸収ポンプ部門=SGLT2”が沢山必要になって現れます。

そして、その仕事量は多く過労な工場のような状態になっています。

 

 

人間社会も“過労”や“ブラック企業”が問題になっていますが、腎臓も同じです。

腎臓の仕事量が多く、過労な状態が続くと尿を作る1つの工場(=ネフロンといいます)はストレスがかかり壊れてしまします。

それでも仕事量は変わらないため、残りのネフロンに負荷がかかりまた1つのネフロンが壊れて腎臓の工場の稼働率が落ちていきます。

これを医学的にeGFR=糸球体濾過率と表し、腎臓病を診るときの指標になります。

このように腎症が進行していきます。

 

過労な状態の腎臓の“糖の再吸収ポンプ部門”の仕事量を抑える作用の薬がSGLT2阻害薬です。

SGLT2阻害薬】

2014年に発売されたSGLT2阻害薬”は、糖尿病で肥満の患者さんが血糖値や体重をコントロールするために

“尿の中にエネルギーである糖を出させることで、血糖値を調整するお薬”として処方されています。

「血管の中に糖がありすぎるなら、その余分な糖を尿に出してしまおう」という今までにない薬です。その作用機序や、発売から5年間の研究結果を載せます。

 

SGLT2阻害薬の作用機序】

SGLT2阻害薬の作用機序は、尿細管で糖の再吸収をしているSGLT2を阻害します。

その結果、糖は再吸収されずに尿にはいわゆる“尿糖”として排泄されて、血糖値を下げる働きがあります。

糖の再吸収が抑えられるため過労工場だったポンプたちの仕事量は通常に戻り、ストレスがなくなります。その結果として腎臓を保護することに繋がります。

実際の研究結果ではSGLT2を飲んでる群では、腎臓病がどのくらい進んでいるかの程度をみるアルブミン尿/たんぱく尿、eGFRの低下率が改善したという結果があります。

上の表は、SGLT2阻害薬を内服している人、そうでない人の腎機能をみたものです。SGLT2阻害薬を飲んでいる群(青色)は内服を始めてから過剰濾過が治まり一見腎機能が下がっているように見えますが、長い目で見るとグラフが右肩上がりになり、腎機能が改善していることがわかります。

 

SGLT2阻害薬と腎臓の保護効果について学会で聞いたことは

②に続きます

 

2019-05-21 11:13:50

  • 件 (全件)
  • 1
ページトップへ