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猪岡内科コラム

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肥満と食欲

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食欲と肥満

食欲と肥満①
 
猪岡内科
糖尿病療養指導士 中村郁恵
 
「太るのはイヤ」と思っている人は多いのではないでしょうか。
事実、多くの人は太らないための努力を行っています。
しかし、世の中を見渡す
と、太っている人が減っているようには見えません。
 
【肥満の歴史】
歴史を振り返ってみると、19世紀ころまでは太っていることは富と健康の証とされ、肥満は理想の体型とされていました。
西洋画の裸婦画の多くで、豊かな脂肪を蓄えた女性が描かれているものが多いのも、十分にたべられていないという生活が一般的であった中で、太っていることが「裕福さ」と「美女」の証明でした。
アメリカでも太っていることを誇りにする上流階級の「ファットマンズクラブ」が人気でした。会員になるには、少なくとも200ポンド(90㎏)の体重が必要で、“デブを徹底的に謳歌する”ことが彼らのスローガンでした。

近代になって産業革命が起こり、近代農法が開発されると食料の生産量が増えて、豊かになります。その結果、一般の人たちにも十分な食料が行き渡るようになりました。
そして、20世紀後半、肥満は健康に悪影響を及ぼし、様々な病気と関係していることが分かり始めます。
 
【増え続ける肥満】
日本国内では特に男性の肥満者の数は少しずつ増え続けています。
一方、世界でも肥満者の数が急増していて、研究者たちは、この肥満者の増加を「肥満のパンデミック」と呼んでいます。
パンデミックとは、感染症が世界に流行するときに使う言葉で、人から人へ感染が広がるように「健康を損なう肥満」が世界中の人々に遷延しつつあることをあらわしています。

【肥満とはなにか】
私たちは食事からエネルギーをとっており、これを「摂取エネルギー」といいます。
そして、私たちは生きるために呼吸し、心臓を動かし、体温を一定に保っています。
歩いたり、話したり、考えたりします。
これらに使われるエネルギーを「消費エネルギー」と呼びます。
消費エネルギーは、生きるのに必要な基礎代謝と体温の維持、運動など活動するのに使うエネルギーの合計です。

食べ物からの「摂取エネルギー」と生存と活動に使った「消費エネルギー」の収支が合っていれば体重は変わりませんが、摂取エネルギー量が上回ると余ったエネルギーは中性脂肪となり、脂肪細胞に蓄えられます。

生活が便利になった現代は、例えば階段でなくエスカレーターなどが増えて活動量が格段に減ってきています。そして、美味しくてカロリーの高い食べ物を食べる機会は増えています
この結果、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る状況が続きます。
そして、脂肪細胞が集まった脂肪組織が肥大化し「体に脂肪が過剰に蓄積した状態」の肥満になります。
 
【肥満の指標】
肥満の度合いを数値化したものが、19世紀ベルギーの数学者であるアドルフ・ケトレーによって考案された「ボディマス指数BMI」です。
 BMI = 体重(㎏)÷身長(m)
日本肥満学会ではBMIが25以上を肥満と定義していて、1番病気にかかりにくいとされる標準体重はBMI 22です。
 
【日本人男性の肥満が増加している】
日本人男性の30代~70代の働き盛りの世代で、肥満者の割合が右肩上がりに増えており、現在3人に1人は肥満です

一方で、日本人女性は肥満の割合は減っているものの、閉経で女性ホルモンが減り脂肪がつきやすくなることで50代以上の肥満者の割合が多くなっています現在20代では10人に1人、50代では5人に1人が肥満者です。
 
男性よりも女性で肥満度が低いという現象は、ほかの国ではほとんど見られない日本の特徴です。日本人の女性は肥満に対する抵抗感が強く、太らないための様々な努力をしているのですね。
 
【肥満の種類】
肥満の種類については以前にこちらのブログに書いたことがあるので、簡単に書きます
「皮下脂肪型肥満」は皮膚の下、特におしりや太もも腰回りに脂肪がたくさんつき女性に多い、いわゆる洋ナシ形肥満です。
「内臓脂肪型肥満」は、内臓の周り、特にお腹周りに脂肪がたくさんつくリンゴ型で男性に多くみられます。
内臓脂肪型肥満のほうが脂肪細胞の球が大きく「より悪玉なアディポカイン」と呼ばれるホルモンを多く出しているために、糖尿病・高血圧・高脂血症などの発症リスクが高いといわれています。


そして現在、皮下脂肪と内臓脂肪に次ぐ第三の脂肪として「異所性脂肪」が注目されています。
 
【異所性脂肪とは】
内臓脂肪型肥満で脂肪細胞の球が限界まで大きくなると、脂肪細胞はそれ以上の中性脂肪をためておくことができなくなります。
そうなると、パンパンの脂肪細胞は取り込んだ脂肪酸とグリセリンを血中に放出します。
免疫細胞はこの放出された脂肪酸に反応して炎症反応を起こします。
 血流にのって全身に運ばれた脂肪酸は、肝臓、筋肉、心臓、膵臓などの細胞に取り込まれます。
エネルギーが不足している状態では、エネルギー源として利用されますが、肥満の状態ではエネルギーが足りているため、「中性脂肪」として細胞内に蓄積されます。
このような脂肪組織ではない場所に蓄積される中性脂肪を異所性脂肪と呼びます


 
“脂肪“と聞くと、どうしても「太っている人」をイメージしますが、この異所性脂肪はそうとは限りません。
それは、ひとりひとり脂肪細胞の数に個人差があるため、脂肪をためこむタンクの大きさに差があるからです。

脂肪細胞はひとつひとつが膨らんで脂肪をため込みます。
太っている人(太りやすい人)は脂肪細胞の数が多いため、痩せている人と比較して中性脂肪を皮下脂肪や内蔵脂肪として蓄える余裕があります。
痩せている人の中には脂肪細胞の数が少ない場合があり、脂肪が入るタンクが満タンになると行き場を失った中性脂肪が異所性脂肪として蓄積されやすくなります。
 
BMIが標準範囲でも健康診断などで、血糖値やコレステロールが高いと指摘されて驚く場合がありますね。
異所性脂肪は、心臓にたまると冠動脈疾患、肝臓にたまると脂肪肝、その毒性で糖尿病など脂肪がたまっている付近の臓器に悪い影響をもたらします。
次回以降に続きます。
 
 
 

2018-12-16 19:05:32

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